第7章 再会
佐助の言葉に広間にいる人たち皆が驚きのあまり二人を凝視している。
「いやいやいや…ちょっと待て!お前ら似てねぇし!」
双子って顔が同じのアレだろ?と幸村が言う。
アレってなんだ、アレって、とツッコミを入れたいところだが、佐助が真顔で答える。
「俺らは二卵性双生児って言っただろう?」
「なんだよ、その二卵性双生児って」
「幸の言う、顔が同じなのは一卵性の双子。同じ卵から二人できるからそっくりなんだ。それに対して二卵性は卵が違うから、必然的に顔も違う。因みに俺は母親似でさくらは父親似です」
眼鏡を中指でクイッと上げ、理解できた?とでも言うように幸村を見る。
他の武将たちも、佐助の言葉で何となく理解したのか反応は様々だ。
「それにしても…」
さくらが上から下までマジマジと佐助を見る。佐助と二年近く会っていなかったが、少しばかり思うことがある。
「なんか佐助、老けてない?」
元々落ち着いた雰囲気で実年齢より上に見られることはあったが、それ以上に歳をとった感じがするのだ。
「…此処に来て五年近く経ってるから」
「え?五年??でも佐助が行方不明になってから二年ほどしか…」
「うん、色々とあって、俺は五年近く戦国ライフを満喫している」
明後日の方を見て、この世界にとても馴染んだし、今の俺の職業は忍者だ、と語る。
我が兄ながら凄いなと思うと同時に、何でこんなのと血が繋がって…しかも双子なんだと思ってしまった。
ああ、でも今はもう年齢が違うから双子というより兄と妹か、と少し寂しく思う部分もある。
「でも、佐助に会えて本当に良かったよ。ずっと、探してた」
「…ごめん。俺もさくらの事はずっと気になっていた。体調は大丈夫なのか?」
「え?あ、うん。休んだら楽になったよ」
「そっちじゃなくて、……肺の方」
少し言いづらそうに聞く佐助。
存在自体は濃いが、空気のように黙って二人の会話を聞いていた武将たちはそれぞれに反応を示す。
「どういう事?」
誰もが気になる中、口を開いたのは家康だった。
何でもないよ、と口を開くさくらをスルーして佐助は話す。
「俺の知る限りでは、肺の病気を患っていて治療していたはずなんですが」
でも、あれから二年経ってるみたいなんで、と付け足す佐助を思いっきり睨んだ。