第7章 再会
「さくらのお腹も満たされたみたいだし、広間に行くぞ」
「え?」
「…信長様の命令。あんたの目が覚めたら広間に来るようにって」
真田幸村たちも来てる、と家康は付け足す。
…ん?幸村“たち”??彼の言い方に引っかかりを覚え、首を傾げる。
「舞と違って鋭いね。まあ行けば分かるよ。…あんたに会いたいんだってさ」
気にくわないけど今は休戦中だから、と呟く。
家康の言い方に不満だったのか、秀吉は家康に突っかかった。
「おい家康!お前今、舞のこと貶しただろう」
「ご心配なく、いつものことなんで」
「あのなぁ…」
このタイミングで秀吉の説教が始まりそうだ。
「あの、早く行かないといけないのでは?」
「…家康、話の続きは後だ」
「続きなんてなくていいですよ」
「早く行くよ」とさくらに一声かけ、家康は部屋を出た。
秀吉は「こら、待て!」と家康の後を追う。それに続くようにさくらも部屋を後にした。
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広間に入ると、信長をはじめ、光秀、政宗、三成、舞は既に定位置に座っていた。秀吉と家康もそれぞれ定位置に着く。
さくらも末端の定位置に行こうとすると、信長に呼び止められた。
「貴様は俺の隣だ」
「え?」
「こやつらは貴様に会いにきた。だから俺の隣に座るが良い」
こやつらと言われた方を見ると、そこには幸村と信玄の姿があった。
「ゆきちゃんと、信さん…?」
「おー、元気そうだな」
「信長の顔を見るのは気に食わないが、姫君の姿が見れて嬉しいよ。元気そうで安心した」
二人ともホッとしたような優しい表情でさくらを見る。
とても心配してくれていたのだろう。
この時代に来て日は浅いが、ここの人たちは人情がとても厚いと思う。そんな事を考えていると、舞が二人に問いかけた。
「今日、佐助くんは?」
「あいつならもうすぐ来ると思う。…謙信様と一緒に」
聞き覚えのある名前を気にしつつも、自分の知り合いの訳ないか、と首を振る。
すると、噂をしていた人物がタイミングよく部屋に入ってきた。その人物を見て思わず呟いてしまう。
「さ、すけ?」
佐助と呼ばれた人物もこちらを見て目を見開いた。
「さくら…?」
そして彼もそう呟いた。