第7章 再会
消化の良いものを、と持ってきたのは野菜たっぷりの雑炊だった。
熱々なので、冷ましながら食べていると隣から声がかかる。
「本っ当に心配したんだぞ?」
「…ごめんなさい」
何で体調がおかしかった事を言わなかったんだ、とか少しでも変化があったら言え、とか警戒心が足りないとか…何で私はこんなに説教されているのだろう。
「しかもさくらを助けたのがあの男って言うのが気にくわない」
この言葉には側にいた家康さんも、うんと頷いている。
え、そこ同意するところ?寧ろ助けてくれた幸ちゃんにはお礼をするべきだ。…私が。
因みに先程から説教しているのは何かと世話焼きな秀吉さんだ。
「聞いてるのか?」
「聞いてないです。あ、違った、聞いてます」
私の一言で秀吉さんのこめかみに青筋が。
「お前、日に日にいい根性した性格になってきてないか」
「…元々です」
こんな性格でごめんなさい。家康さん、助けて…と彼に視線を送るも軽くスルーされた。
「そういえばあんた、真田幸村と知り合いだったの?」
「え、誰です?真田幸村って…」
「は?」
首を傾げて言うと、家康さんも秀吉さんも目を点にした。
真田幸村という武将は有名なので知っているが、そんな凄い人と出会った覚えはない…はずだ。
「…あんたを助けた人だけど」
「私を助けた…?それって幸ちゃんのこと?」
「「幸ちゃん?!」」
家康さんと秀吉さんの声が見事にハモる。
「甘味仲間でズッ友の幸ちゃん」
そう言えばフルネーム教えてもらってなかった。彼はあの有名な真田幸村だったのか。
…私、有名武将遭遇率凄くない?
と言うことは、あの時一緒にいた大人の色気たっぷりの信さんもきっと有名な武将なのだろう。
「友達の幸ちゃんって、真田幸村のことだったんだ。てっきり女の子だと思ってた」
「…ごめんなさい、性別までは聞かれなかったので」
「………………、まあ今は休戦中だし問題ないけど」
少し不機嫌そうな顔をする家康さん。隣にいる秀吉さんは眉間にシワを寄せている。
「友人を作ることはいいことだが…何でよりによって男なんだ!」
もっと警戒心を持て、とまたしても秀吉さんに口うるさく説教されたのだった。
とりあえず、まだまだ続きそうなので聞いてるふりして手元にある雑炊を冷めないうちに食べることにした。