第2章 彼女の始まり
「彼女が欲しいんです」
「彼女…実は…この前、ニュースになった…虐待をされ、監禁されていた子供なんですよ……」
まさかという様な話に咄嗟にやめろというばかりに彼女の事を話す職員
「あぁ、やっぱり、そうなんですね?」
「やっぱり?知ってるんですか?」
「まぁ、あの話は有名でしたからね…この施設の近所で保護されたと新聞にも採り上げられてましたし、何となくです…でも、」
だが、男はそんな事気にもせず、あの事件を日常のように語ると彼女の方を見てこう続けた。
「あの子は才能があり、頭の良いい子ですよ!」
でも、職員は彼女を見て顔を歪める。
「そう見えませんか?」
「いえ、言葉が通じないので、分かりません、そもそもいつも無表情な子ですから」
「なるほど……でも、……でも、あの子はそれに受容しようとしてるんだ。親がいなくなったというのに、まるで悲しい事を考えないようにしている子なんでしょう。だから、あの子がいい、あの子はきっと悲しんでいる妻を救ってくれそうだから、」