第2章 彼女の始まり
警官に連れられ、彼女は数日後施設に預けられた。
どうやらここでは私の言葉は通じないようだ
だから、当然彼女は施設でいじめの対象になった。
でも、彼女は無表情に何も感じない人形のようにただ呆然とその言葉を聞いているし、暴力をされても多少は反応するが基本は何もしないのだ。
職員も気味悪がったが、
彼女が庭に出て、1人で遊んでいた時の事だ。
『〜♪♪』
彼女は歌っていた。言語は違うが、
即興か、はたまた別か、
彼女はそして踊る。
それは実に綺麗だった。
すると、彼女の元に1人の男がしゃが込む。
『君?歌上手いね!……』
久しぶりに聞く母国語に……彼女は男の方を見た。
『日本語……』
『そうだよ?』
『日本人ですか?』
『……ごめんね…おじさんは韓国人だよ…』
男は申し訳なさそうに彼女に笑うと
彼女は笑顔でこう言った。
『大丈夫です…どうして、来たんですか?』
『あぁ、そうか、私は子供を貰いに来たんだよ
……妻には子供が出来なかったから
だから悲しんでいる妻の為にも…いい子がいないか見に来たんだ……』
『そうなんですね…見つかりました?』
7歳とは思えないほどしっかりしている彼女…
男は彼女との会話に彼女の頭を撫でた。
『あぁ、今見つかったよ…』
『今?』
男の言葉に職員は全員顔を見合わせた。
何となくだが、男が此処に来た理由がわかったから…
すると、男は彼女から離れ、
職員の前にやって来る。
「あの…すみません、実は養子を貰いたくて来たんですが……って言っても見学のつもりだったんですがね
…」
「あぁ、そうなんですね?じゃあ、中を見ていきますか?」
職員はやっぱりかと思うと、男に中に入るように進めた。しかし、男は彼女の方を指さしこう言った。
「嫌、結構です。彼女を貰うことにしましたから」