第7章 August
オーディション当日、彼女は誰よりもソワソワしていた。
来てくれるでしょか、アボジには無理言ってしまいましたが、というか、エントリー名、ペンネームにしてあるから、誰だか、きっと分かりますし、
彼女は百面相しながら、オーディション会場の隣の部屋で待っていた。
実はこれは彼にも、オーディションする全ての人に言ってないが、
審査員として彼女も参加するのだ。
Augustが誰か見れるのは嬉しいが、
知らない人に意見するのかあ……
まだ、10代の若造がとか思われたらどうしましょう……
彼女は悩みながらも審査会場の椅子に腰をかける。
シヒョクはそんな娘の顔に微笑みながら言った、
「審査は確りしてくれよ!」
「うん、頑張るねアボジ…」
あぁ、可愛いとシヒョクは思いながり、彼女のお気に入りAugustの事を考える。
彼女は人が苦手だ……だから…始めて彼女が会って見たいと思える人物、
だから、私も楽しみだよ……きっと、素敵な音楽を知ってる子が来るはずだからね。
そして始まるオーディション……
1人、また、1人と審査する度に彼女とシヒョクは厳しいかもしれないが、確実なアドバイスを入れ、次に回す。
そして、最後、いよいよAugustだ。
「失礼します。August事ミン・ユンギです」
名が聞けた。会えた。それは2人が同時に思った事、
曲をもらい、かけ、歌って貰う。
彼女は思う。やっぱり、彼には才能がないなんて嘘だ。
こんな素敵な曲なのだから、
歌が終わり、ユンギは彼女の方に向きなおった。
「ありがとうございました!」
これがAugustと少女の出会い