第6章 彼女の為のモンスター
彼女の新曲の発表がもうすぐある。
ナムジュンはそう隣に座る少女を見る。
彼女との出会いは練習室だった。それか、テレビに出ているのを数回か見るくらいの知識しか、知らない。
辛い今があるから先には大きな場所がある。
彼女のこの言葉に救われた。
彼女は小さいけど、自分より、経験が違うのだろう。
もしかしたら、彼女は今がその大きい場所にいるんじゃないだろうか、
彼女は綺麗だ……純粋だ。まだ、会って数日だが、ナムジュンは思う。
彼女のファンがこぞって言うように……
彼女が、もう苦しまない事を祈りたい
親に捨てられ、周りに辛いことを言われても笑い続ける彼女はもう幸せになって欲しいんだ。
ナムジュンがそう考えていると、
彼女は首を傾げる。
「どうしました?ナムジュンさん!後、数分でビデオ公開ですよ!」
「凄い楽しみそうだね!」
「そりゃ、そうです!今回のビデオ撮影は1人じゃなかったですから!」
彼女は笑う。実は今回のビデオには、ナムジュンも映っているのだ。
彼女はそう話すと、彼の手を握った。
「ナムジュンさんがでてる始めてのビデオなんです…楽しみに決まってます!」
あぁ、彼女に心を開いてもらうとこんな感じなのか、
ナムジュンは柄に無いことだが、彼女を無性に抱きしめたくなる。 けど、それはこらえた。
彼女とは、数日だが、もう沢山のステージを共にした。
それと共に彼女が日本人という事だけで、辛いことをされている事も知っている。
そして、今から公開されるのはその中の1つの彼女が1番楽しんでいたミュージックビデオの撮影の時のだ。
彼女はビデオを見ながらこう語る。
「ナムジュンさん……お祝いにプレゼントです……」
それはナムジュンにとって嬉しくてたまらないものだった。