第3章 彼女が家族になった日
ハジェは彼女の指さす言葉を口ずさみ、、今度は彼女に韓国語を指さし彼女に応える。
『ありがとう…心配してくれたの?』
「はい…でも、辛いならちゃんとシヒョクさんに言って下さいね!私は、言葉が話せないし、分からないので、」
『言えないわ…あの人、今、忙しいもの……ねぇ…あなたは嫌じゃないの?こんな知らない土地で知らない私達に引き取られて……』
ハジェは申し訳なさそうに眉を下げ。
彼女はそれを否定すべく首を振った。…嫌なわけないよ…違うよ…
彼女はとても感謝していたのだ。
彼女の家族も施設も皆、彼女をよく思っていなかったから……だから、初めて手を差し出してくれた瞬間、彼女は始めてここに来て感じた人の温もりだったのだから………
「思ってません……感謝しています
知らない土地で、頼る人ができて、君を護るとシヒョクさんは言ってくれました。撫でてくれました。
だから、嬉しかったんです。嫌なはずありません……」
彼女がハジェを見れば、
ハジェが微笑み口を開く。
『そうだったのね……私ね、この前、生まれてくるはずの子、自身の身体が限界で産めなかったの』、
気づけば、彼女に話していた。
『だから、シヒョクさんは私も失いたくなくて、決断したわ、
でもね助かった私は生きた心地がしなかったの……
あんなに楽しみにしていたあの子を自ら捨てたみたいで……最低な母親な気がして……』
ポロポロと泣くハジェ、
彼女はハジェの手に小さい手をそっと添えると、同じく涙を流す。
「悲しいですよね……辛いですね……でも、きっとその子は、捨てたなんて思ってませんよ…っ…頑張ったんだって言ってます
!
だって、生まれようとしてくれてたんです。だから捨てられたなんて思ってません、だって一生懸命一緒に頑張ったんですから……」
泣く彼女の言葉は、全然幼さとは裏腹で綺麗だった。