第2章 彼女が初めて嘘をついた日。
「はぁ.....はぁ.....」
彼女に怒鳴ったときがフラッシュバッグしてきた。
彼女は俺を本当に忘れてしまったのだろうか
もし本当なら彼女は.....
「だいちさん!」
けんすけが俺を追いかけてきたようだ。
「だいちさん、一旦戻りましょう。」
「でも.....」
今戻ったところで苦しいだけじゃないか。
「だいちさん、ただの嘘かもしれないじゃないスカ。一旦戻りましょう?」
「.....わかった。」
________
彼女の病院に戻るとたなっちと、さっきの医師がいた。
そして彼女は眠っていた。
「あ、だいちくん、戻って来てよかった。」
どうやら医師が彼女のことについて説明してくれるらしい。
「彼女はですね、今回のショックにより「忘愛症候群」っという病にかかってしまいました。」
「忘愛症候群.....ですか?」
全く聞いたことのない病名だ。
「はい。忘愛症候群とは、「何かをきっかけに最も愛する人に関する記憶が全て無くなってしまう」という病です。」
「最も愛する人に関する記憶が全て無くなる.....」
どうやら患者数はごくわずかで、この医師もはじめてみたらしい。
「その病、何か治療法はあるんですか。」
たなっちが問いかける。
「.....そうですね、あるにはあるのですが。おすすめいたしません。」
「忘愛症候群の治療法はただひとつ.....
「愛する人の死」です。」
俺達は聞いた瞬間背中に冷気が通ったような感覚に落ちた。絶望である。
「愛する人の死.....」
「つまりだいちさんが.....ってことですか。」
「はい、無くった記憶の人物が亡くなれば、患者は記憶を取り戻す。ですが、記憶を取り戻した代わりに彼女にはあなたが亡くなったという絶望があります。くれぐれも記憶のために危険な行為はいないように。」
そういい医師は病室を後にした。
「だいちさん.....」「だいちくん.....」
俺はなぜあの時彼女に怒鳴ったのか、自分を殴りたい。
「んん.....」
彼女が起床したようだ。
「あ、まだいたんだ。たなっちとけんすけと.....えっと、お名前聞いてもいいですか?」
「だ、だいち.....です。」
本当に覚えないの?ねぇ____。
うそつき。