• テキストサイズ

紅月恋

第1章 夜這い


蓮巳編

――― 今日、夜から会えるか? ―――

 仕事の休憩時間に来たメールに私は叫びそうになりました。こんなお誘いは久しぶりで舞い上がってしまいそうになりました。
 なんでも仕事が予定よりも早めに切りあがったので、明日丸1日オフになったそうです。私も明日はオフなので、敬人のお家にお泊りすることになりました。

「ただいま」
「おかえりなさい、敬人。お仕事お疲れ様でした」
「菜子もお疲れ様。悪いな、急に呼び出して」
「いえ、私、お誘いしていただけてとても嬉しいです」
「…そうか」

 自分の仕事を定時までに終わらせて、自宅にお泊りセットを取りに行って、食料の買い出しをしてから敬人の住んでるマンションに向かいました。

「お夕飯もお風呂の支度も済んでますよ。あ、なんなら…」
「ありがとう。先に風呂を貰おう」
「あ、はい」

 合鍵は貰っていたので、そのままお夕飯とお風呂の準備、ついでに洗濯物を片付けておきました。
 敬人は先にお風呂に入ってしまわれたんですが…いいんです、時間はまだこれからです!

「菜子の味付けは美味いな」
「ありがとうございます、おかわりもありますよ」
「もらう」

 時間はまだこれから…!

「片付けは俺がやっておくから、風呂に入ってこい」
「でも、敬人も疲れてるんですから私が」
「自分も仕事終わりで料理も風呂の支度もあまつさえ洗濯物まで片付けておいて疲れてないとは言わせん。行ってこい」
「は、はい…」

 時間はまだ…

「……寝てますし」

 お風呂でちゃんと隅々まで身体を洗って、風邪をひかないように髪も乾かして、以前購入したベビードールの上に寝巻用の浴衣を着こんで行きましたのに…
 ソファに座って本を開けたまま寝てるじゃないですか…!

「敬人?」

 敬人は少しでも人の気配があれば気づいて起きるんですが、私が起こすときはなかなか起きない。それだけ気を許してくれてると思うと嬉しいのですが、私だって敬人に構ってもらえないのは寂しいんです。

「敬人」

 ゆっくり休ませたい、触れ合いたいのも全部本音です。いつもならそのまま寝かせてしまうために頑張ってお部屋のベッドまで運ぶところですが、今夜の私は悪い子になってしまいそうです。
 敬人の隣に座って、持っていた本と眼鏡を起こさないように取ってテーブルに置いておきました。
/ 15ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp