第1章 オレ ダケヲ 見テヨ。
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時計屋の店員の彼は、仕事の日は基本
髪の毛を下ろしている。
本当は邪魔だから高校の時みたいに
上げたいらしいけど、時計屋だとそれが
あまり良いイメージじゃないらしい。
むしろ、覚くんが時計屋の店員さん
というのがしっくり来ない。
本人曰く
『正確に動いているモノを見るのは
なんだか面白いし飽きないよネ。
逆もまた然りだけど』
覚くんらしい、という事にする。
前髪の間から見える目が好き。
少しダルそうに下がってる目。
それを逃さないかの様な燃えるような紅。
カッコいい。
「ゆあちゃんも可愛いし、綺麗ヨ」
どうやら、心の声が聞こえてたみたいで
返事が返ってくる。
ふと、貼ってあるポスターの時計に
目がいってしまった。
コレ、覚くんがつけてるやつ。
「ねーえー、何でそんな俺以外の男
まじまじ見ちゃうの?何でー?」
「あっ、ごめん違うの、このポスターのと「ゆあちゃん酷いな〜こんなにも愛してるのに他の男のが良いのかな〜」
こうなったらもう終わりである。
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