【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第18章 ギフト
久しぶりに入る事になった雅は少しばかり緊張していた。
「どうした?」
「あ…ううん…なんでもない…」
そう言いながらも玄関に入り靴を脱ぐ雅。靴を脱いだのを見計らったかのように降谷はぐいっとを引き寄せ、腕の中に抱き入れた。
「ふ…るやさん?」
「知ってはいると思うが、僕はそれほど気が長い方ではないんだ。」
「…ッッ」
「それに、前にも言ったが、最近の君は本当に風見の事を気にかけていたからね。僕がどんな思いだったか解るか?」
「それは……」
「何かと言えば風見、風見と…自分でも気付いていなかっただろう?」
「……降谷さ…ン」
ぐいっと腰を抱き寄せて、同時に顎を持ち上げ、唇を重ねる降谷。舌こそ割り込む事は無かったものの、それでも深く、雅を逃がそうとはしていなかった。ゆっくりと離れるといたずらっ子の様に小さく笑い、腕を離す。背を向けて廊下を進みだした。そんな降谷の背中からキュッと巻き付き前に進もうとする相手を引き留めた雅。
「零…さん…」
「…ん?何?」
「私だって…すごく…」
「…『すごく』なんだ?」
「…ベルモットさんに嫉妬してた。」
「ハァ…雅?彼女の事を気にしているのか?」
「だって…でも同じ事だよ」
「いや、それは違うな。」
「一緒だよ!」
そう言うと降谷に巻き付く腕にきゅっと力が入った雅。
「雅がしっかりと安心できるまで何度も言うよ組織の時はバーボン、ポアロは安室透だよ」
「でも、体も声も…全部零さんだよ…」
「それもそうだな。だけど、僕の中では色々替えている。演じ分けているよ。だからどれ程に梓さん達に好意を寄せられたとしても全く響かない。僕の心にはね。」
「……」
そっとシャツを握りしめる雅の手を解くとそっとその手を取って自身の胸に押し当てるように雅の手を誘った降谷。そのまま押し当てて少し照れくさそうに話し出した。
「ここに響く女性はただ1人だよ。」
「……ッッ」
「そして同様に僕の事を『零』と呼ぶ女性も…」
そう言うと、前に回る雅の腕をそっと緩めて体の向きを変えた次の瞬間には、雅は降谷の腕の中にいた。