【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第18章 ギフト
その頃のバーボン…
仕事も一段落し、ホテルの部屋に居た。そんな時、着信が入る。気怠そうに画面を見るとそこには『Vermut』の文字が映し出されている。そう、ベルモットからの呼び出しだった。
「もしもし?」
『…あら、珍しく遅いけど…』
「すみません。どうかしましたか?」
『今から少し時間をくれる?』
「…解りました。どちらへ?」
『ホテルの48階。バーラウンジで待ってる』
そう言い残してベルモットは電話を切った。耳に残る機械音を聞いてバーボンはクスリと小さく笑った。
「全く。どうして僕はいつも先に電話を切られるんだか…」
そう呟き、携帯を持ったまま部屋を出る。言われたラウンジに行くとそこには数人のお客が居るだけ。奥の方に夜景を見下ろしているベルモットが座って待っていた。
「遅くなりました。」
「いいのよ?…座って?」
「それで…?どうしたんですか?」
「あらやだ。忘れたの?」
「…?何をですか?」
「バーボン、あなたの生まれた日でしょう?」
「……あぁ、そうか…」
そう。ベルモットに言われるまで自分自身全く気付いていなかった。席に着き、目の前に座るベルモットの視線に気づいた。
「…何か僕の顔に付いていますか?」
「いえ、何も。其れよりも、バーボン。あなたに聞きたい事があるの」
「なんでしょうか?」
「……日本の毛利小五郎、彼にいつまで付くのかしら。もういいんじゃない?」
「…いえ。毛利名探偵には俄然、興味がわいている最中で。特に眠りの小五郎…にはね」
「…そこまであなたを虜にする方法があるなら私も知りたいわ?」
「それはそれは。ですが、あなたなら大抵の男はすぐに落とせるでしょう?」
「でもあなたはまだ落としきれてない。そうでしょ?バーボン」
「フフ…どうでしょうね」
「前に私からのマンハッタン行も断った癖に。」
「その代わりにジンとマティーニ作られたんでは?」
「……そうね。でも最近は一段とあっさりしていてね」
「そうでしたか」
「…誕生日に、何がいいか迷ったんだけれど…」
そういい差し出されたのは小さな包みだった。
「…これは?」
「たまには変えてみるのもいいんじゃい?」
そう言われた。開けてみると香水の瓶が1本。小さく笑うと『ありがとうございます』と受け取っていた。