【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第17章 素直な心
「成瀬、電話してみろ。今ならまだ合流してないかもしれん。」
「…合流してたら?」
「出ないだけだろう。」
「…ッッ」
ゆっくりとダイヤルボタンを押す。
1コール…2コール……
『もしも』
プツ…ッッ
「やっぱり出なかったか?」
「でた。」
「で何で切ってんだ!」
「なんとなく…何で切っちゃった!?」
「それは俺が聞いてるって…」
そう話している内に雅の携帯に降谷から着信が入る。
「も…もしもし」
『切れたようだが?』
「…ご…ごめんなさい。」
『どうした?』
「あの…今…ちょっとだけいい?」
『数分なら。』
「あの…きをつけてね?」
『どうした、ん?』
「あの…帰ったら…その…」
『帰ったら?この仕事からか?』
「…うん。」
『1週間後?何かあるか?』
「…ッッ」
『……雅?』
「1番最初に…会いに来て…」
『…ッ』
「やっ…やっぱなし!今の…なし!気を付けて!それじゃぁ!」
そういい、またしても一方的に切った雅。
「か…風見さぁん…私…ダメかもしれない…」
「何がだ?いいんじゃないか?」
「だって…やっぱり言ったら降谷さん…無言になった…」
ずーん…と重たくなった雅の空気。頭をかいた風見。何を言おうと今は雅の耳に届くとは思えなかった。
ピロン…
俯いていた雅の携帯に降谷からラインが入る。
「や!だめ、何か降谷さんから来た!」
「いや、俺に言われても。返事は返さないと。」
「そうかもしれないけど…さっきの言葉に対してだよね…」
「だろうな。早く見ろ」
「他人事だと思ってるでしょ…」
そういいながらゆっくりとラインを開ける。
『帰ったら真っ先に会いに行く。待ってて。』
『それから、いつも先走って勝手に切るな。返事くらいさせてくれ。』
それを読んだ雅は一気に安堵の心に包まれた。返事を返すことはせず、風見に対して『ありがとう』と話していた。
「俺はなにもしてないさ。」
「ううん、本当に。ありがとう…」
「よかったな。」
「でもなんでいつも助言してくれるの?」
「降谷さんと成瀬がぎくしゃくするとこっちまでやりにくい。それだけだ。」
そう言いながらもニカッと笑う風見。本心でありながら冗談混じりであることは簡単に気付くことができた。