【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第17章 素直な心
それから1週間ほどした時だった。降谷が話していた『都内から出る』と言った日がやってきた。出発の日の朝に風見と雅に連絡が入る。
『今日から組織の関係で1週間離れる事になる。よろしく頼む』
「今日だったなんて聞いてないんですけど…」
「そうだな…来年に賭けるんだな」
「え…?何…風見さん…」
「誕生日。聞けたんだろ?」
「…それが……」
「あ・・そうなのか…」
「まさか…近い…?」
「あぁ。明後日だ。」
そう聞かされた雅。カレンダーを見て一気にうなだれた。
「7月31日だったんだ…」
「俺はてっきり聞けていて、降谷さん自身も一緒に過ごすもんだと思ってたんだが…」
「彼女と過ごすよりも、組織の人とパーティーのがいいんですよ。きっと…」
「まだパーティーだなんて決まったわけじゃないだろう?」
「……そうですけど…」
そう話しながらも雅は風見になだめられていた。
「かくいう成瀬は誕生日いつなんだ?」
「6月です」
「降谷さんは?」
「話してませんでした。重たい女とか…そんな風に思われたくなかったもん…」
「そんなバカな…」
「だって…私の誕生日6月なんですよー!っていったら、忙しいの解ってるけど一緒に過ごしてくださいねー!!って言ってるみたいなものじゃないですか?」
「そうかもしれんが…でもまさか降谷さんがやり過ごすとは…思ってもなかったな…」
「ちょうど忙しい時期にぶち当たってたりもしてたんで…いいんですそれに私の誕生日の時には降谷さんの顔見れたんで…」
「それでいいのか?」
「いいんです…」
「…成瀬…あのさ。」
そういいながら風見は雅の顔をじっと見て、久しぶりに諭すように言葉をかけた。
「『いいんです』とか、『私は平気』ってさ。女性は相手を思って、思いやってるって気持ちになるだろうけど男からしたら嫌なんだよ。いや、嫌っていうか…寂しくなる。」
そういう言葉を風見から聞いたのは初めてだった。そのため、雅はその目から視線を外すことは出来なかった。
「成瀬が悪いとは言ってない。だけど、もう少し自分に素直に、正直になってもいいんじゃないか?」
「…でも…」
その言葉が風見を動かした。