【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第17章 素直な心
~降谷side~
「…ン」
朝も早くに目が覚めた。今日から1週間は『降谷』としてでなく、『バーボン』として過ごす…シャワーを浴びて、歯を磨き、朝食の支度。いつもと同じ状況の中、着々と支度を済ませていく。ふと時計を見る…
「連絡しておかないと…」
梓には1週間はシフトに出られないと事前に話してある。それを言えば雅や風見にも話してあるが…朝食を頬張りながら食べ始める。
『今日から組織の関係で1週間離れる事になる。よろしく頼む』
ひと言入れた。コトっとテーブルに置いて用意したものも食べ終わり、ふぅ…と一息ついて支度しようかと言う時だった。
ピリリリ…ピリリリ…
(雅?)
2コールした頃、降谷は電話に出る。
「もしも『ツーツーツー』…し?」
出た瞬間に雅からの通話は途切れた。出るも出ないも関係なく、きょとんと降谷は携帯を見つめる。
「なんなんだ?一体…仕事…としてじゃなさそうだな…」
そう思いながらもテンパっているだろう雅を想像しながらも降谷は折り返し電話を掛ける。
『も…もしもし』
「切れたようだが?」
『…ご…ごめんなさい。』
「どうした?」
『あの…今…ちょっとだけいい?』
「数分なら。」
本来なら数分どころかずっと話していたかった。それでも時間に遅れる訳にもいかない。ましてや一緒に行動するのがベルモットだ。彼女はきっと早くに着いているに違いない。
『あの…きをつけてね?』
「どうした、ん?」
『あの…帰ったら…その…』
「帰ったら?この仕事からか?」
『…うん。』
「1週間後?何かあるか?」
『…ッッ』
一瞬沈黙になった雅。確かに1週間の予定といったのは降谷自身だった…沈黙になる電話口に向かって名前を呼ぶ。
「……雅?」
『1番最初に…会いに来て…』
(…え?会いに…?)
聞きたい事は一気に膨らんだ。1番最初に会いに来て…?その理由はもちろん雅の口からそんな言葉が聞けるのも驚いていた。しかし、その直後に聞こえてきたのは焦りを隠すような雅の言葉だった。
『やっ…やっぱなし!今の…なし!気を付けて!それじゃぁ!』
その後に聞こえたのはツーツーという機械音…返事をする間も無くまたしても切られてしまった。