【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第17章 素直な心
「忙しいことくらい…わかってますよ…仕事だってのも…」
「それなら…」
「そうでした…仕事大好きな降谷さんだもん…仕方ない…」
「(そういう訳ではないと思うが…)成瀬?」
「それに…誕生日だって…実際知らないし…」
「そうなのか?」
「風見さん、降谷さんの誕生日知ってるんですか?」
「あぁ」
「……絶対私彼女じゃない気がする…」
「いやいや、聞けば教えてくれると思うぞ?」
「聞くのおかしくないですか?」
「おかしいか?」
「じゃぁ…風見さんが聞いてみてください…?」
「俺が聞くのはおかしいだろ…知ってるのに…」
「…そうだった…」
「教えようか?」
「……自分で聞きます」
「そっか…」
そうして風見と別れて雅はポアロに向かった。
「いらっしゃ…あ、ありすさん!」
「梓さん…」
「空いてる席にどうぞ?」
「ありがとう…」
そうしていつもの席ではなく、少し奥まった席に着いた雅。ここなら、安室としての声も聞こえるが、あまりあの2人の姿をみなくて済む…死角とまではいかなくても、見えにくい場所には変わりなかった。
「…いつもと席、違うじゃないか?」
「……ん…」
「どうした?」
そういいながら注文を取りに来たのは安室だった。
「この時間なら…何にする?」
「…コーヒー…アメリカンで…」
「OK」
そういいながらも安室はその場を離れた。背中を見送って雅はノートパソコンを広げる。そのまま仕事を始めた。
「お待たせ、ここでやるのか?」
「私の仕事、とりあえず明後日の分までは書類関係終わってるので…」
「突発出たら変わるけどな…」
「そうはいっても…明後日用のまとめで大忙しです」
「そうか…無理するなよ?」
その一言で、雅は十分安らげるのだ。それを知っていてか、安室はすぐに離れた。
そんな安室に梓は声をかける。
「安室さん、ありすさん、どうしたんですかね…」
「何がですか?」
「いつもと違って、あんな奥の席…入ってきたときもすごくしょんぼりしたようにも見えたんですけど…」
「そうですか…さすが梓さん。お客様の違いに気づくなんて…」
「じゃぁやっぱりなにかあったんですか?」
「さぁ、僕にはさっぱり…お仕事を…ということだったんで、そっとしておいてあげましょうか…」
「そうだったんですね!」