【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第16章 『パンケーキCP』
そのまま風見は機動捜査隊と一緒にその場を離れ、車に乗せられた雅は降谷の運転で病院に向かった。
幸いにも弾は貫通しており、神経も傷ついていないとの事。数日は通院が必要だが、時間にしては短めの手術で終わった。安心した降谷は風見に連絡を入れる。
『風見です』
「僕だ。」
『成瀬、どうですか?』
「神経も傷ついていないか問題ないと…貫通しているから調べれば成瀬の血痕の付いた薬莢が見つかるだろう」
『解りました。』
そうして通話は切れた。ふぅ…とため息を吐くと降谷は雅の撃たれた腕の部位と同じ所をそっと触れた。
「全く…(心配させて……でももう少しずれてたら…危なかったな…)」
そう思いながらも雅が手術室から出てくるのを待った。
直にランプも消え、雅は出てくる。
「すぐに麻酔も切れると思います。今日明日は1泊入院でも構わないと思いますが…どうされますか?」
「そんなに悪いんですか?」
「いえ…麻酔が切れた時にショックで何か異常があれば話は別となりますが、それが無ければそのまま帰宅でも構いませんが…」
「解りました。そうしたら様子見ます。」
そういい降谷は医師に頭を下げた。病室に戻った時、やはり医師の言った通り、じきに目を覚ました雅。
「…あれ…ン…ここ……」
「起きたか?」
「あ…降谷さん…」
起き上がる雅を手助けしながらも様子を見る。
(良かった…これなら大丈夫そうだ…)
「すみません…こんな…」
「いや、構わん」
「…すみません、迷惑かけて…」
「大丈夫だ…それより、よく耐えたな…」
「……だって…来てくれるって信じてたから…」
「全く…もう少しずれてたら危なかっただろ」
「んー…そうですね…」
「そうですねって…タク…」
「でも…何があっても零が助けてくれるでしょ?」
「……ッッ」
そう名前を呼ばれた降谷はそっと頭を撫でた。
「当然だ。君は僕が守る。命に代えても…」
「それはダメです。」
「どうして?」
「命に変えられたら…私1人残るじゃないですか…そんなの嫌だ…」
「クス…そうだな…2人居て、だな」
「風見さんも入れてあげようよ!」
「…仕方ない…」
そう言い笑い合い、この日中に病院を後にしたのだった。