【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第13章 初デート
色々と見て回り、やってきたのはペンギンのコーナーだった。
「ねぇね!降谷さん!ペンギンだって!!」
「そりゃ、ペンギンだが…好きか?」
「はい!ペンギン!可愛いですよねぇ…」
「…フ」
そっと雅は手を離し、携帯のカメラを構える。その目は真剣そのものだった。
「…撮れるかな…」
そう言いながらもファインダー越しのペンギンに集中している。そんな雅を少し離れて降谷は自身のカメラで写していたがそんな事に一切気付かないでいた。
「……撮れた!」
「良かった。見せて?」
「うんほら!!」
満面な笑みでピトっとくっつき下から見上げて携帯をみせる。『上手に撮れた!!』といって本当に嬉しそうな雅に『うん、良く撮れてる』と優しく返事を帰す降谷。その笑顔に今更ながらも雅は照れくさくなった。そんな時、イルカショーがもうじき始まるというアナウンスが入り、2人は見に行く事にして向かった。上の方しか空いていなかったものの席に着きプールを見ている。
「嬉しそうだな」
「だって、降谷さんとのお出掛け…初めてだもん…」
「確かにそうか。風見とはお出掛けしててもな…」
「だって…あれは仕事だもん…」
「仕事のわりに距離感が恋人並みだったのは気のせいか?」
「き…気のせい!」
「…そうしておくか…」
「あの…」
言いかけた時だ。耳元でボソッと『悪い、出るぞ…』といいゆっくりと手を引いて雅をその場から連れ出した。
「ねぇ…降谷さん…どうしたの?」
「奴らが居た…」
「奴らって…?」
「ジンとウォッカ…」
その名前は黒の組織の面々だった。なぜここに居るのかもわからないまま降谷は雅を巻き込むまいとその場を後にしたのだ。イルカショーの会場から出て売店に向かった2人。
「…大丈夫?もしなんなら…帰る?」
「いや…余程問題は無いと思う。イルカショーも30分はあるはずだから…」
そうして売店を見て回るものの、降谷以上に雅が気にしていた。少し見て、『風見さんに!』とおみやげを買い、一緒に降谷への物と自分の物も種類違いで買った。
少ししてわらわらと会場辺りが騒がしくなる。そう、気付けば30分経ち、ショーも終わっていた。