【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第11章 名前呼び
こうしてたっぷりと時間を使ってのんびり、ゆっくりとした食事を済ませた3人。会計も相変わらず降谷が全額持っていた。3人そろって店を出て、それぞれ車に向かう。
「それじゃぁ。お疲れ様。」
「お疲れ様です!」
「御馳走様でした…!」
「おいしかった!降谷さん、ごちそう様です!」
「それじゃぁ…また明日!」
「おい…成瀬。俺を明日も働かせる気か?」
「え…あ…・・あしたお休みでしたか…」
「一応な」
「ごめんなさい…ゆっくりと休んでください!!」
「出来ればそうさせて頂きたい」
そう言いながらも笑っていた。それじゃぁと手を振り風見を見送る雅。そのまま出て行った風見の車を見送ると雅は降谷に目を向けた。
「降谷さんも、お疲れ様です」
その言葉の先の降谷はRX-7に凭れ、じっと雅を見ていた。
「さて、成瀬?もう少しだけ付き合って貰おうか?」
「え?」
「いいから。着いて来て」
そう言うだけ言うと降谷は車に乗り込んでエンジンをかける。雅も慌てて車に乗り込むとエンジンをかけ、先行く降谷を追った。しかし、着いた先は他のどこでもない降谷の自宅だった。
「あの…降谷さん?」
「そっち、来客用に停めてくれて構わないから…」
「はい…」
そう答えて雅は言われるがままそこに車を停める。車から降り、降谷の後を追い、促されるまま雅はその部屋に入った。
「適当に座って?」
「…はぁ」
そう答えるとコーヒーと昆布茶を入れる。カフェインレスにしたアロマコーヒーだった。
「あの…!れ…れ……」
「れ?」
「……冷蔵庫!この間入れたの、やっぱりおいしくなかったでしょ…」
「あぁ、作ってくれたのだろ?おいしかった」
「そんな事…ありがとうございます。」
「うん。……はい。コーヒー」
「……れ…」
「ん?」
「カフェインレス!!ですね…」
「あぁ」
『零』と言えないもどかしさと、なぜここに呼ばれたか解らない不安で雅はどうにもならない思いを抱いていた。