【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第11章 名前呼び
「あの、実は…風見さんが!気になる人がいるらしくて、それで、その人の事を名前で呼ぶのはいけないかなって!」
「そうだったのか、風見。」
「あの、いえ…!」
「名前で呼びたいのに、どう呼んだらいいかって!」
「風見、突如女性を名前で呼ぶのはどうかと思うが…順序を踏まえ、且つ、信頼関係が生まれてからでないと逆効果になるぞ?」
「…はぁ。」
そう答える風見。しかし、それを聞きたかったのは雅であり、その答えは雅が求めている答えとは違っていた。
「私ちょっと…ごめんなさい」
そういい手洗いに向かった。雅が居なくなったその場所では笑いながら降谷は風見に話しかける。
「風見…」
「あの降谷さん…さっきのは…」
「成瀬の事だろう。全く…」
「降谷さん気づいていたんですか?」
「いくら風見の事であっても、あれほど口数増えてペラペラと話すとは思えない。それに成瀬のあの言い方。間違いなく彼女自身の事だろうな。」
「…はぁ」
「何を聞かれたかは解らないが、さっきの流れから言えば僕の事、だろう。」
「(この人は…一体どこまで見通すんだ。)確かに…」
そう思いながらもひと言返すだけで風見は何も言えなかった。
…一方の雅…ーーー
「最悪…降谷さん絶対不振に思った。」
そう思いながら鏡の前でため息を吐いて項垂れていた。どうしたら良いのか。このまま戻ったらどうなのか…それでも呼んでみたくなる…だけど…・・・
「…零…さん」
ポツリと口を吐くことはある。でも、本人を目の前にすればただの1度も言えたことはない。言えたらどれだけ幸せだろうか。そんな想像や妄想であれば幾度と無くやって来た。
『零さん零さん!聞いて?』
『なぁ雅…』
『えっ?なぁに?』
『そろそろ「さん」を取っても良いんじゃない?』
『え…それって』
『零でいい。』
「…もぉぉぉ…!」
そう。呼んでみる『それ』は夢にまで見るほどになる。しかし、いつまでもここに居る訳にもいかない。そろそろ戻らなくては…そう思い、降谷と風見のもとへと戻っていった。