【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第9章 イミテーションデート
荷物持ちを兼ねて一緒に買い物を済ませていく。見ている間にショッパーは増えていき、両手は塞がって行く。端から見れば、アッシー君か、良く言っても令嬢と執事、そんな感じだ。それでも買い物を済ませて行った2人は気付けば時間も経っていた。
「もうすでに3時間ですか…」
「そうはいってもディナーには早いわね…」
「確かにそうですね。どこか行きますか?」
「何か飲みに行く?」
そういって荷物を車に乗せるとカフェに向かった。コーヒーを2つ頼み向かい合って飲んでいる。そんな時ベルモットの携帯に電話が入る。
「もしもし?…・・えぇ、私1人よ?それが?…えぇ。解ったわ。それじゃぁ。」
「……ジン、ですか?」
「えぇ。今夜あなたに話をするのは知ってるけどこの時間にあなたとあってる事は話してないからね…」
「なにか問題でも?」
「いえ?なんとなくよ」
「そうでしたか…それで?今度は僕に何の仕事があるんでしょうか?」
「ある人物の行動を知りたくて…」
「それは…?」
そうして雑踏にかき消されるかのように唇を動かすベルモット。それを見てバーボンもまた、目を伏せる。
「また厄介ですね。」
「そうはいっても簡単でしょう?」
「クス…良く言いますよ」
「期限は2日後。宜しく。バーボン」
そう言いコーヒーを飲みほした。そんな時ふと目を向けた時、髪に着いたゴミを取ろうと手を伸ばしたバーボン。
「何?」
「いえ、髪にゴミが…」
「…ありがとう」
そうしてバーボンもコーヒーを飲みほした。支払いを済ませて車に戻ると『ふぅ…』と1つため息を吐いた。
「どうしました?ベルモット」
「大した事じゃないわ」
「あんなに買い物するからですよ。先に送りましょうか?」
「…そうしてもらおうかしら」
車を発進させたバーボン。少し車を走らせてベルモットの家に着いた。
「相変わらずですね…一体いくらするんですか。ここ」
「さぁ、知らないわ?」
「入れてしまっていいんですか?」
「大丈夫。ここで待ってて?」
「はい。」
そう言われて車に積んだ紙袋一式を持ち、ベルモットは一瞬バーボンから離れた。しかし、電話を掛けるでもなくただ黙って待っていた。ベルモットの事だ、どこかに何か仕掛けているかも知れない…そう思ったのだ。