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【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~

第9章 イミテーションデート


そして次の日…雅はいつも通りに出勤となる。そのまま署に向かい、仕事に入るものの、珍しくも仕事量が見合わない。そう、珍しくも仕事が少ないのだ。これなら定時に上がれそう…そう考えていた時だった。風見から連絡が入った。

「はい、成瀬です」
『風見だ。109付近でたてこもられた。これそうか?』
「ya。降谷さん…――は繋がらないでしたね。解りました。いまから出ます。」
『頼んだ』

そうして雅はこれ幸い!と言った様子で睡魔の襲うパソコンの前から飛び跳ねるように車に乗り、インカムを付けて風見の話した場所に向かっていった。時刻は13時を回ろうかと言う時だった。109の近く、ビルの周辺には人だかりはもちろん車も数台停まっている。

「…あれ?」

雅は見間違いかと思いながらも風見と合流した。

「案外早かったな…」
「ねぇ風見さん?降谷さん、来てますか?」
「何言ってるんだ…さっき成瀬自分で言ったろ?降谷さん来ないって…」
「そうですけど…」

そう。来る途中に停まっている車の中にRX-7があった。降谷以外でも乗っている人が居るのはもちろんとしてもこの小規模の中に居るだろうか?そう考えてしまっていた。

しかしその予想は的中した。移動する為に歩き出した時だ。さっきのRX-7に乗り込む姿が見えた。紛れもなく降谷その人だった。いつもより少しだけ髪をまとめ、黒のスーツに身を包んだその姿。しかし、見間違う訳は無かった。一瞬目があった様にも思ったものの相手も反応は無い。

「…違ったのかなぁ…」

ぽつりと呟いて過ぎ去るのを待った。すれ違いざまに見えたその助手席に座っていたのは降谷と同じように金髪の、女性だった。見方によってはその場からも一刻も早く走り去ろうとしているようにも見えるが、行き交う車の波にまぎれて行った。

「成瀬?」
「あ…すみません!」
「ボーっとしすぎだ。ここから…おい!!」

その言葉とほぼ同時に上から人が落ちてくる。ビルの上から飛び降りたのだろう。追っていた犯人だった。咄嗟に風見は雅を抱き寄せ、視界から遠ざけた。
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