【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第9章 イミテーションデート
~雅side~
食事も済み、降谷と風見と別れた後、家路に向かいながらもグルグルと廻っていた。自分が心配しても仕方のない事なのは解ってる。それでも心配は拭えなかった。家に着いた時だった。降谷からのメールが来る。それは長くなってしまって済まないといった短い物。さっきの電話の事だろうと察しはついた。心配かけまいと大丈夫と強がってみたものの降谷のが上手だったのだろう。組織の事を心配していると言わざるを得なくなる空気になっていた。すると直に電話が鳴る。
「え…まって…!これ…えと…」
動揺した雅はおずっと通話に切り替える。
「もしもし?」
『僕だ。』
耳にダイレクトに聞こえる降谷の声。インカムで聞き慣れていたはずなのに鼓動は跳ね上がる。
「あ…お疲れ様です。どうしました?」
『クス…敬語でなくてもいいのに』
「え…?」
『恋人との会話に敬語、使わなくてもいいと思うけど?』
突然の降谷のその言葉に雅は動揺した。そしてソファの上で突如正座をして会話をし始めた。
「…こ…恋…ッッ?!」
『何をそんなに驚く?違うのか?』
「ち…違いません…」
『だろう?』
「…うん、それで…どんなご用件でしょうか」
何を言っているのかもはや解らない…恋人との会話に特別な用件なんて必要なのか…そう思いながらも口走った言葉を取り返す事は出来なかった。
『クスクス、そんなに固くなる必要あるのか?』
「あの…」
『特に用はない。ただ、明日は電話やメールを貰っても返せないかもしれないから、その伝えだけだ』
「…そっか…明日会うんだね…」
『誰と…とは聞かないんだな』
「だって…組織の人でしょ?」
『僕はまだ明日、組織の奴と会うとはひと言も言ってないはずなんだが?』
「…ッ……そか…」
『フッ…・・ベルモットだよ。だから返事は返せない…』
ベルモット…良く降谷から聞く組織の一人…どんな人かは正直知らなかったが聞けば金髪のロングヘアの女性という事。それでも困らせない様に…そう思った。
「うん…解った。」
『それじゃぁ…』
「あ…降谷さん!」
何を思ったかつい呼び止めてしまった雅。どうしても言いたかったのだ…
『何?』
「…お…おやすみなさい!!」
言うだけ言って切ってしまったが、顔はにやけてしまっているのが自分でもはっきりと解って居た。