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【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~

第9章 イミテーションデート


~ 降谷side ~

ベルモットからの電話を切り、梓への連絡も終わらせた。後は雅への連絡だけか…そう思いながらも家に帰る。荷物を置き携帯を出し入れてみる。それでも『気を付けてくださいね?』何て顔文字付で返事は返ってくる。何に気を付けるのかと問うと雅は組織からの電話だったことに対してだと返ってきた。

「全く…心配性だな…」

そう思いながらも電話を掛ける。仕事以外で掛ける事は無く、今回が初めてだった。

―――・・…2コール…3コール…なかなか出ない相手にこれ程まで緊張する事は無かった。

『もしもし?』

やっと出た受話器から聞こえる雅のその声は少しだけいつもより高く聞こえた。

「僕だ。」

そのひと言が上ずってしまっていないか不安になる。落ち着けと言い聞かせながらも会話は繋がって行った。

『あ…お疲れ様です。どうしました?』
「クス…敬語でなくてもいいのに」
『え…?』
「恋人との会話に敬語、使わなくてもいいと思うけど?」
『…こ…恋…ッッ?』
「何をそんなに驚く?違うのか?」
『ち…違いません…』
「だろう?」
『…うん、それで…どんなご用件でしょうか』

ご用件って…明らかに電話口の雅は正座して携帯を両手で持ち、顔は真っ赤になっているだろう…そんな光景を想像したらおかしくなってきた。

「クスクス、そんなに固くなる必要あるのか?」
『あの…』
「特に用はない。ただ、明日は電話やメールを貰っても返せないかもしれないから、その伝えだけだよ」
『…そっか…明日会うんだね…』
「誰と…とは聞かないんだな」
『だって…組織の人でしょ?』
「僕はまだ明日、組織の奴と会うとはひと言も言ってないはずなんだが?」
『…ッ……そか…』
「フッ…・・ベルモットだよ。だから返事は返せない…」
『うん…解った。』

余りにあっさりとした返事と理解にあっけにとられたのは言うまでもない。それどころか少し位はベルモットという言葉に嫉妬してほしいという気持ちすら生まれた。

「それじゃぁ…」
『あ…降谷さん!』
「なんだ?」

やっぱり嫉妬していたのか?と思った時だ。

『…おやすみなさい!!』

突然言われたそのひと言。しかし嬉しさは一気に切られた電話で笑いに変わってしまった。

「言い逃げとはね…」

そう呟いて降谷も又ピッと切った。
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