【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第8章 忠告
「まて!!この…」
「…ィヘヘ…!!捕まってたまるかよ…」
そう言いながらも風見を振り切ってくる逃走犯。すっとビルの陰から身を出したのは降谷だった。
「…ぅわぁ!!」
「さすが雅だな。道を何手先も読んでくれる。」
「……くそ…」
「それにしても風見を撒いてきたとは。後で説教だな」
「よそ見してんじゃねぇよ!!」
ザッと出されたナイフを避け思い切り相手の腹に右の拳が命中する。ずるりと体が力を失った時手錠を掛けながらも降谷はその男に頭上から声をかける。
「忠告をどうも。そうは言っても僕は優しくないから。僕からの忠告としていうなら2度とこんな真似をしない事だな。」
そう言い残した。耳のインカムを通して雅に通話を持ちかける。
「成瀬、よくやった。君の読み通りだ。」
『いえいえ、そんな事は。でも良かったです。風見さんは?』
「…今来た」
そうして少し遅れてきた風見に対して説教が始まるその声はインカムを通して雅にも筒抜けだった。
「あんなに簡単に撒かれてどうする、あれが1人だったからいい物の複数いたら…?最近浮ついているんじゃないのか?それよりも集中力が欠けている。原因はその目の下の浅黒いクマ…睡眠はとっていないな。」
「…いえ…その…そんな事は…」
そう言い訳をしようとする風見のお腹がぐぅとなる。
「まさか食事もとっていないとは…」
「いえ…ビスケットを…」
「それは食事ではない。子供のおやつじゃぁあるまいし。」
「……すみません…」
『降谷さん、それ位に「君にも同じ事がいえるぞ?成瀬」…ッッ』
『……どうして…ですか?』
「僕がインカム越しだから気づかないとでも思ったのか?その声、反応スピード、いつもより少し遅い。どうせ君もしっかりと休息を取っていないのだろう。」
『…すみません』
「今日は早くにきっちり仕事を終わらせて来い。」
『終わらせてって…』
「18時に待ち合わせにしよう。そこからでもそう遠くは無いはずだから来れるだろう。地図を送るから。先に風見と向かっている。」
『え…降谷さん?』
「以上だ」
そうしてインカムを切る降谷。運転をしようとする風見に道案内を頼まれるものの『うーん…』と考え込んでいた。