【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第6章 気付いてくれ
右手でそっと背中を抱くと降谷は今までで最上にとも言える程優しい声で雅に話し出した。
「何で君はこんな時にそう言う大事な事を言うんだ…」
「…すみません…」
「全く…」
「…ッッ…ほんと…迷惑ですね……すみません。忘れてください」
離れようとする雅だったが右腕1本といえど、ぐっと力を入れた降谷の腕からは逃れられなかった。
「前も言ったが、忘れてくれと言われてそう簡単に忘れられる様な事ではない。それに、僕は左腕が今使えない。あぁ言ってくれる君を抱き締める事が出来ないじゃないか…」
「降谷…さん?」
「いい加減に気付いてくれ…僕の気持ちにも…」
今度はそっと降谷が雅の体を離す。そっと右手で頬を包むとニコリと微笑み、そっと呟いた。
「成瀬…公安としての僕の恋人はこの国だけど、降谷零としての恋人に…なってくれるか?」
「…嘘…」
「さすがにこの僕もこういった事で嘘だの冗談などとは言わない。どこかの誰かと違って…」
「…誰か……?」
「昨日の君みたいにね」
「やっぱり私何か変な事言ってたんですか?」
「変な事じゃない。大事な事だ。」
「…あの…・・ッッ」
「成瀬?」
「……はい」
「酒の勢いでも、感情に任せた勢いでもなく、君の気持ちを聞かせてほしい。」
「……降谷さん?えと…」
恥ずかしさのあまりに下を向いてしまう雅。きゅっと唇を噛み、言葉にしようとしても上手く出てこない。
「あの…降谷さん…そんなに見られても…」
「どうして?」
「さ…先に降谷さんが言ってくれたら…考えます…」
「僕は君に伝えたはずだが?」
「…――――ッッ」
「クス…僕は君が、成瀬が好きだ。」
サラリと言ってのける降谷。その言葉にさらに顔を赤らめながらも雅は小さく答えた。
「私…も……っき…」
「聞こえない」
「私も…降谷さんの事…・・・きです…」
「クスクス、聞えない」
「…意地悪…」
「聞こえないものは仕方ない…」
ドキドキと高鳴る鼓動はとてつもなく大きく聞こえる…
(五月蠅い…黙って…!私の心臓!!)
「成瀬…」
「…・・ッ…好き」
そう言う雅の後頭部に手を回し引き寄せた降谷。
「良く出来ました」
小さく囁くと降谷はそっと自身の唇を雅に重ねた。