【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第6章 気付いてくれ
『もしもし、成瀬です。』
「風見だ。今いいか?」
『はい、どうしました?』
「黙って今から東都中央病院に向かえ。」
『病院って…誰かケガ…もしかして!!』
「…あぁ…降谷さんが運ばれた。」
その言葉を聞いて雅は居てもたってもいられずに帰るのを止めて急いで中央病院に向かった。
「すみません!!少し前だと思うんですが…救急車で運ばれた…!!」
「お名前は…?」
「降谷…降谷零です!!!」
「申し訳ありませんがお通しでき『いいから…!どこですか!?』」
受付の言葉を聞きもせずに警察手帳を見せるとやっと案内してもらえた。案内してもらった所に着くとノックをしてゆっくりと戸を開ける。
「…来たか」
「風見…まさかお前…」
「いくら降谷さんの指示でもお受けできませんでした。すみません…」
「降……谷さ…」
目に涙を溜めて雅はベッド脇に近付くと首に巻き付いた。
「痛…っ…おい…成瀬…」
「良かった…良かった…ぁ…ほんとに…」
「そんな死んだみたいな言い方…」
「…ヒック…エック……」
もう今の雅に降谷の声は届いていない。無事だったことに、生きている事にただ大袈裟と言われようと喜びをあらわにするしかできなかった。
そんな降谷は風見をちらりと見ると、軽く会釈をして一旦病室を出ていった。
「本当に…生きてる…」
「そう簡単に死にはしないさ。ましてや僕には守るものがある」
「そうかも知れないけど……!!!」
「命より大切なものが2つもあるからね。僕には」
「降谷さん自身を1番にしてください。」
「それは無理だ。僕にとっては『…好き…なんです』」
耳元で巻き付いたまま雅は勢いでとも言おうか…好きだと伝えていた。制を切ったように雅の言葉は止まらなくなっていた。
「わがままだって解っています。こんなの私の身勝手な価値観だって…それでも…私の中では公安の仕事としての1番と、人としての1番が違うんです。そんな相手が…死ぬかもしれないなんて…嫌だ…」
「成瀬…」
「迷惑なのも解ってます…明日からはこんな事言わないから…もっと自分の事…大事にしてください…公安として、1人の男として…人として……」
「…成瀬…」
「少なくても私は降谷さんが…降谷零が居ないと困るんです…お願い…無茶しないで」