【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第5章 カンパリのキス
「成瀬?」
「…ふゆやさん…」
「なんだ?」
そう返事をする降谷に巻き付いたまま雅はその腕に力を少しだけ込めた。
「わらわにゃい?」
「聞いてみない事にはなんとも言えん。」
「案外いじわうでしゅね。」
「酔っぱらいだからな。」
「もぉ…」
小さく返事をすると雅はゆっくりと離れいつもではあり得ないほどの距離でにこりと笑うとまっすぐに降谷のアイスブルーの瞳を見つめながら言い放った。
「わたしねぇ、降谷さんの事…好きかも知れないです。」
「……成瀬?」
「ヘヘ…びっくりしました?」
「…ちょっと…どういう…!!」
「どういうとか聞きますかぁ?鈍感でしゅね」
「成瀬…?」
首に再び巻き付いた雅。そんな雅を優しく抱き締めた降谷。
そのままおぶさり、タクシーを拾うと家まで送ってもらうことにした。降谷一人であれば歩いて帰っても良かったのだが、なるべく早くに帰宅して寝かせてやりたかった。
…---・・・
家に着くと抱き上げてゆっくりと下ろす。とりあえず…とスーツを脱がせた。
「…ン…るゃ…さん…」
「…ッッ」
先程の公園の時点で降谷の理性はぎりぎりだった。それに加えてまさか着替えさせることになるとは…しかしスーツのままとはいかない。明日も出勤、入っている。淡々と心を無にして、降谷は自身のスウェットを着せ、スーツ上下とブラウスをかけた。そんなこととは露知らず、雅は心地良さそうに降谷のベッドで寝息をたて寝入っていく。
「全く…こっちの気も知らないで…」
自身も着替え、そっと横に座る。前髪を避けスッと唇をなぞる。
「…ン…」
深い眠りに落ちた雅の顔を見つめ、降谷はそっとその寝顔に顔を近付ける。
…チュ…・・・
ただ重なるだけのキス。2度目のキスはカンパリの味がした。
「あんな事言う成瀬が悪い…」
そう呟いて降谷も雅の横に寝転んで眠りに付いた。