【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第5章 カンパリのキス
「成瀬?この間の事なんだが…」
「ころあいだっれ…にゃにかあぃましたか?」
「……?!?!成瀬?」
(何よ……へらへらして……)
「飲みすぎだ…」
そうして異変に気付いた時だ。風見が戻ってくる。
「遅くなり…まし……たって…成瀬?」
「かじゃみしゃん…」
「『しゃん』って…それより電話で…」
「なんれ行っちゃったですかぁ。そりゃ…私だって……好きになったりもしますよ…れも…それれも…がまんしてるんでしゅ…」
「我慢って…?降谷さん…?」
少し困惑した表情の風見に向けて、小さく笑みを浮かべながらも聞こえない振りをしながら1人で飲んでいる降谷。
「わたしらって…解んないもん…」
そう話しながらも雅はカウンターに臥せってしまった。それをみて風見は小さく笑う。降谷は風見に声をかけた。
「成瀬の送りは僕がするから。さっきの電話…向かってくれ」
「すみません。折角なのに…」
「飲んでなくてよかったな。」
「ハハ…」
そうして風見は頭を下げて2人の元から離れた。会計をして降谷は酔い覚ましにと、近くの公園に雅を連れて行った。
「涼しいねぇ」
無邪気にも笑っている雅。ベンチに座った降谷は隣に座る雅の様子を確認しながらも寄り添っていた。
「成瀬…」
「はぁい?…あ、そぉだ!ねぇふゆやしゃん?」
「ふゆや…って。」
「ちあう、ふーゆーやー…しゃん!」
「酔っぱらいめ…」
「このあいらね?…ごめんね?」
「この間?…思い当たる事が多そうだが?」
「このあいら。…ギュってしちゃった事。わすえてね」
「なぁ成瀬?さっきの続き、僕でよければ聞こうか?」
「つじゅきって言っても…わすえてねってだけで…」
「忘れる訳ないだろう。それに、それではなく店で話してた事なんだが?」
「もぉ、ふゆやさん酔ってるんでしゅか?」
「酔っぱらいは君だな。」
「フフーン…なら大丈夫よねぇ」
そう言うと立ち上がり座る降谷の首に巻き付いた。降谷の鼻をくすぐるのは柔らかい雅のお気に入りの香水とカンパリの香りだった。