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【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~

第4章 何で泣く?!


ばれない様にと急いで涙を擦り拭うものの降谷の目はごまかせなかった。

「何で泣いてる…んだ?」
「…ぃぃ…」
「ん?」
「もう…大丈夫です…済みません。」

背中を向けて歩き出した。車に戻ろうとしていた。

(もぉやだ…本当に自分…どうかしてる…)

そんな時だった。後ろからどんっとした重みと同時に雅は鞄を落とし、抱きすくめられていた。

「待て…」
「…・・降谷さん?」
「泣いている奴、放っておける訳ないだろう」
「放っておいてください」
「無理だ。」
「どうしてですか…部下だってだけなら…放っておいてください」
「成瀬…」
「…解ってるんです!もぉ…放っておいてくだ…ン」

抱き締める腕が雅の頬を包み、顎を持ち上げて背後から降ってきたのは降谷の唇だった。そのキスで雅の言葉はさえぎられる。

それから時期に雅はもう一度降谷の体を押し戻して鞄を取り無言のまま降谷の前から走り去って行った。残された降谷もまた、少ししてから車に戻る。そこにはもうすでに、雅の車は居なくなっていた。愛車の白のスポーツカーに身を委ねるように座り、ハンドルをスッと指でなぞる。

「恋人が、この国だと言いきれていた時のが……まだ良かったのかもな…」

そう呟いて、クスリと小さく笑うとエンジンをかけた。そうしてゆっくりと発進させて家路に帰った。




――――雅も先にでたとはいえ、なかなか進めずに居た。家に帰る途中でさえも、雅は気が動転している。その原因はいくつもあった…この数時間の中にどれだけの要素が詰め込まれているのだろう…

家に着き、スーツを脱いで、シャワーを浴びる。顔を洗う時にふと指が唇で止まった。

「…ッッ何で…キスなんて…」

唇に触れれば時間が経った今でも降谷のその感触ははっきりと思いだされる。男性の割に柔らかく…温かかった…

「…ッッ!だめ!!しっかりして…自分!」

頭上からシャワーに打たれながらも必死に忘れようとしていた。
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