第24章 接触

こうしてベルモットと、約束の時間と待ち合わせ場所を決めた降谷は雅にメールを入れた。

『明後日AM10：00、東京駅』

それだけの短いメールだった。


一方の雅…

降谷からの電話を切った後、風見に聞かれていた。

「どうした？」
「んー、なんか…私に会いたい人が居るって…」
「なんだそりゃ。」
「その人が何で私に会いたいのか解んないんだけど…」
「知ってる人か？」
「…１回会ったんです」
「…それで、降谷さん通してなのか？相当な大物人間か？」
「大物…って訳では無いと思うんですけど…」

なんだか歯切れの悪い雅。しかし、歯切れも悪くなって当然だ。なぜあの時の１回会っただけの自分を名指しで指名、そして会いたいと言ってくるのか…考えても答えに辿りつく事は無かった。そんな時だ。

ピロン…

「メールか？」
「はい………そのさっきの人と会う日どりです…」
「そうか…何はともあれ気を付けろよ？」
「はい、降谷さんの事もありますし…」
「ﾊｧ…」

ため息を吐く風見と、降谷に早々に返事を入れた雅。思いは複雑ながらも考えすぎてもよくないと思い直して携帯を鞄にしまっていた。

その日の夜、雅が自宅に帰ると見慣れた白い車があった。そう降谷の車だ。

「……どうしたんだろう…」

そう思いながらも窓をコンコンと叩く。すると待ち構えていたかのように運転席から降谷は出てきた。

「お疲れ様」
「お疲れ…様です。でもどうしたんですか？こんな時間に…」
「それは俺のセリフでもあるな。こんな時間まで…」
「私は仕事ですけど？」
「……そうか」
「それよりも、入りますか？ここで立ち話じゃなんですから…」

そういって雅は降谷を招き入れた。鞄を置き、まず部屋に入ると着替えをしに向かう。リビングで待っている降谷の事も気になっていたが、スーツのままでは何とも居心地が悪いのだった。

「すみません、お待たせして…」
「ﾊｧ、別に仕事で来た訳じゃない」
「……そっか…」
「雅、ベルモットに会う事になってしまって申し訳ない。」
「え？」

突然の降谷の謝罪に雅は驚きを隠せなかった。