【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第22章 …Are you ready?
どれ程の時間が経っただろうか…くたりとした様子の雅と腕枕をして頬を撫でる降谷。
「ン…零…」
小さく吐息を漏らすと雅はきゅっと巻き付いた。そんな相手を愛おしく包み込み、抱きしめる降谷。
どうしてこれほどまでに愛おしくなってしまったのだろうか…
どうして…雅が自分にとてこれほどに必要なのか…
そんな思いと同時に不安になって仕方なかった。
もし、自分や風見に危機が迫ったら…きっと雅は自分を犠牲にする…
そう感じた途端に背中がゾクリとしたのを降谷は感じた。こうなるのが嫌だったからか…それとも別の理由があったからだったか…今となってはもう『恋人はこの国だ』と言っていられた自分には到底戻れなくなっていた。
自分がこの国の犠牲になるなら何の問題もない…それでこの国が守れるなら…そう思っていた。その時ふと、雅が初めて自身の心を打ち明かした時の事を思い出した。
『もっと自分を大事にしてください…』
『私には…降谷零が居てくれないと困ります…』
「たしかに…今となっては解る気がする…」
そう考えながらも雅の前髪をふっと避けながらも見つめていた。そんな時、不意に雅はゆっくりと瞼を開ける。
「ン…ン…・・零…」
「起きた?」
「ん…」
そう返事をすると、無意識に降谷に背中を向けた雅。肩を取り、グイッと引き戻すと上に覆いかぶさった降谷は見下ろして聞いた。
「頼むから…あまり無茶しないでくれないか…?」
「…零…?」
「これ以上は…俺は気が狂いそうだ…」
「…だけど…私…」
「なんだ?」
「無茶してるとは思ってない…」
「だったら無茶してる自覚を持ってくれ…」
「それに…何もできないでいたら…それこそ迷惑かけちゃうだろうし…」
「問題ない…前にも言ったが君は頼らなすぎだ」
「…でも」
「雅…」
ふわりと重なる唇…そのキスで雅の言葉の続きは遮られた。ゆっくりと離すと降谷は額をコツリと当てて再度聞いた。
「…無茶をするな…今回みたいなこと然りだ」
「…零…」
「風見がすぐに着いたから良かったものの…本来なら何をされていたか解らなかったんだぞ…」
「…ッッ」
「頼むから…」
そう言いながら降谷は再度雅をそっと抱き寄せた。