【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第21章 レフティーの重き代償…
それから一息ついて風見は話し出した。
「廻り回って聞かされて怒りを買うより、自分で話すんだな」
「……ん」
「きっと、相当怒られるだろうけど」
「…ん…」
「…でも、他に何か手は無かったのか?」
「そうはいっても……」
「全く…無茶ばかりする…」
「すみません…」
「俺に言う言葉じゃない。」
「……はい…」
そう風見と話している時だ。きゅっと自身の手を握りしめた雅。今になって震えが出て来たのだ。
「成瀬?」
「だ…大丈夫です」
「無理するな…何か飲むか、何がいい?」
「お任せします」
そういい風見に任せた雅。フッと笑いながら風見はその場を離れた。その間にも雅の震えは止まらない。降谷に怒られるだろうこれからの時間が怖いという訳ではなかった。しかし、それもゼロではないと言えば嘘になる。それでも、それ以上に嫌われるのではないか…軽蔑されるのではないか…そんな不安が雅の中で渦巻いていた。
――――……
自販機の前に着いた風見。いつも通りに雅の買うコーヒーを1本とカフェオレを1本買いため息を吐いた。じっと買った2本の缶を見つめ、雅の居る所への戻りが少し遅れてしまった。しかし、ようやく動き出したその足はすぐに止まる事となる。
「風見。」
「あ…降谷…さん…・・」
「成瀬の使いか?」
「…いえ…これは…」
「まぁいい。取りあえず行くぞ?」
「…はい…」
「成瀬はどこに?」
「あの…・・5階の第2会議室に…」
「……解った。」
そうして階層を上がって行く。その間も降谷の後ろで缶を握りしめたまま立っている風見が居る。
(何か…・・あったな)
敢えて今の状況で降谷は風見に問いかける事もしなかった。到着の音が鳴り、扉が開いて、2人は雅の元に向かう。ノックをすると中から雅はカチャリと戸を開けた。
「成瀬。」
「…ッッ降谷…さん」
一瞬にして雅に緊張が走った。それを受けて降谷はピンッと何かを感じ取ったのだった。3人揃い、中に入ると鍵をかう風見はテーブルに2本のコーヒーを置いた。座るに座れない様子のまま降谷は雅に問い始めた。