【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第21章 レフティーの重き代償…
「さっきは助かった。お蔭ですべての処理も無事に済んだ。」
「…はい」
「それで…?」
「……・・・ッッ」
「何があった…」
「あの…」
「あの水野がそう簡単に口を割るとは思えんが?成瀬、君は何をした?」
「…すみません…」
「そんな事は聞いていない。」
「…ッ」
「降谷さん…少しだけ待って『風見には聞いていない』……はい」
まともに降谷の顔を見る事が出来ない。あの時は躊躇う事も無かった。それなのに…
「……脱いで…お願いしました。」
「・・…ッッ?!」
「降谷さん!落ち着いて下さい!!」
「風見は黙って居ろ。」
「…ッ」
その声は降谷が本気モードの少し低目な物だ。
「成瀬…どういう事だ…」
「…水野の要求は、脱いで土下座してお願いしろと…」
「だから…それで脱いだというのか!」
「……ッ」
「成瀬!!」
「それ以外に方法は無かった!!」
「だからと言ってなぜ君がそうする必要がある!?」
グイッと顎を持ち上げて視線を重ねる降谷。その目は怒りに満ちた、冷たく刺さるものだった。不意に雅はその視線から目をそらしてしまう。
「僕から目を逸らすな!」
「……ッ」
「降谷さん…」
しかし、降谷は風見の言葉には全く反応を示さず、じっと雅を見つめているだけだった。
「何故だ!なぜそこまでする必要があった!!」
「…」
「…成瀬!答えろ」
「風見さんは…東都タワーで…降谷さんは…レインボーブリッジで……んな…皆戦ってた!!私だって公安の1人です!2人の仲間です!だったら…私だって2人と同じように戦いたかった…!!」
「…成瀬…」
「誰が死んでもいけないんです…あのままだったら…水野の思惑通りに確実に降谷さん死んでたかも知れない…そんなのダメだから…例えそれが風見さんだったとしてもです!!」
「…・・ッ」
パンッ…!
そう話す雅からそっと手を離すと軽く左頬を降谷の右手がとらえた。風見をちらりと見ると『お疲れ様』といい、背中を向けたまま声をかける。
「先に帰らせてもらう」
そうして部屋から降谷は出て行った。どうしようもない気持ちを抱えたまま雅は溢れる涙を止める事が出来ずにいた。