【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第21章 レフティーの重き代償…
降谷が到着した途端に処理班は血相を変えて走り寄ってきた。
「すみません。自分たちもいけなくて…」
「どういう事だ。」
「アーチの部分が狭く、上がるにも…どうしましょう…」
「そんな事を言っている場合か!…貸せ!」
「しかし!」
『降谷さん?』
処理班から工具を借りて持つと、そのまま身1つで降谷はアーチ部分を登り始めた。爆弾が仕掛けられている所まで来ると相当な高さと風が拭いている。それでも落ちる事無くしっかりと固定されていた。
「全く。何でこんな所に仕掛けるんだか…」
そう言いながらも降谷はインカムで話はじめた。
「風見、成瀬。いまから処理終了まで話しかけるな。」
『降谷さん、…まさか』
「僕が処理する。」
『待って!処理班は…ッッ』
「以上。終わり次第連絡する」
言うだけ言って通話を切り、通信を切った。
『零!!!』
そう叫ぶ雅の声も降谷には届くことなく解体に入る。
「思ったより複雑だな…」
時折容赦なく風は吹きつける…あおられ無い様に気を付けながらの解体…いつも以上に神経を使う作業だった。1本、また1本とコードを切って行く。
「フゥ…あと半分…」
解体は警察学校の時に教えて貰っていた。その知識をもとに切り進めていく。そんな時だ。
「ちょっと待て…何だこの黒い線は…!!!」
そう、予定では一切なかった黒い線が2本…奥に潜めるように出てきた。残り時間も少なくなってきている。爆弾解体の定番ともいえる残りの赤と青の線。最後の1本を切って止まるはずだった。
「…・・ッッ、そうだろうな。」
止まると思っていた…
時間もだいぶ残して終わる筈だと…しかしまだカウンターは動いたまま…そう。謎の黒い線を切っていなかったから……
「どっちを切ったらいいか…フッ」
空を見上げた降谷。徐にインカムの通信をオンにした。
「……風見、成瀬。聞こえるか?」
『降谷さん!!…それじゃぁ…!!』
「…・・・・」
『降…谷さん?』
「済まない。」
『なんですか?!無事に…終わったんですよね!?』
「……カウンターが、止まらない。」
その降谷の声を聴いた雅はドクンと鼓動が跳ねた。