第21章 レフティーの重き代償…

「もし仮に奪うとしても、どんな方法でやるつもりだ。」
「それ、俺が話すと思う？話したらどんな手使っても潰すでしょ。」
「…当然だ」

無言な降谷を下から見上げる水野。その時だった。バタバタと音がして突如１人が入ってくる。

「失礼します。」
「成瀬…？」
「降谷さん…（先程連絡が入りました。東都タワーに大量の爆弾が仕掛けられたとの事です。）
「なんだって…？」
「…もう見つかっちゃいましたか…」
「え？」

その水野の言葉を聞いて雅は一瞬顔を見つめた。

「…まさか…」
「それならあっちも見つかるの時間の問題かなぁ…」
「…貴様…ｯｯ」

ぐいっと胸ぐらを掴むとダンッっと壁に押し付けた。

「降谷さん！いけません！！」
「いったいなぁ。何？」
「どこに何を仕掛けた。」
「だからぁ、それ、俺が言うと思う？」
「言え」
「…・・これって自白の強要って奴になるんじゃない？いいの？天下の公安警察、降谷さんが…」
「水野…！」
「待ってください！！！」

拳を振り上げた降谷を止めようとした雅。多少かすりはしたものの、大けがには至る事はなかった。

「ははは…女にまさか止められるとはね。」
「成瀬、構わん。離せ…」
「いけません」
「きゃははは！あっ、ねぇ、成瀬さん。君が俺とイイコトしたらぜーんぶ話すよ？どうする？」

そういって笑いながらも厭らしく舌で唇を舐める水野を、再度吊し上げるかのように抑え付ける降谷。その目はあまり見せる事のない位の冷たく、冷酷な物だった。

「先に言っておく。お前は俺が唯一殺したいほど憎んでいる男と同じレフティーだ。それに加えてさっきの言動で僕を怒らせた。……この罪の重さ、解って居るな？」
「公私混同っすか。まともな取り調べじゃないっすね。てか、女の事で降谷さんも怒るんすか？ﾋｬﾋｬ…多少は人間臭かったって事っすか？」

降谷の目に臆する事なくそういい放つ水野をどさりと降ろすと監守に任せて降谷は風見に声をかける。

「向うで待っている。」
「解りました。」
「成瀬。行くぞ」
「…はい。」

そうして取調室を後にした降谷と雅。その足取りと視線は変わらず冷たかった。