【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第20章 レンタル彼氏…?
「ハァ…かなり怒ってるな…」
そう呟いて車に乗り込むとメールを打つ。
『今度しっかり埋め合わせするから』
『何の埋め合わせですか?』
速攻で返信が返ってきた。
「なんのって…タク…」
『気を付けて帰ってくださいね?お疲れ様です』
そのひと言にいつもと同じく絵文字は無かった。そう言う時は大抵怒っていると解って居た。
「先に話してこれだからな…如何したものか…」
そう呟いていたものの、降谷は少しだけ嬉しかった。これほど素直に感情を表に出す事は今までになかったから…終わったらしっかりと話をしよう…そう考えて車を出した。
――――――――…・・
こうしてレンタル彼氏当日。待ち合わせ時間の15分前、安室は待ち合い場所に着いて待っていた。
「うーん、まだ、…ですかね。」
「安室さん!…ハァハァ…遅くなりました!ごめんなさい。」
息を切らしながら梓が走ってきたのを見つけて安室はにこりと笑いかけた。
「いえ、僕もさっき来たばかりですから。」
「すみません。本当に…」
「さて、早速ですが行きましょうか?」
「でもまだ早いんですが…」
「クス、恋人には、色々とあるんですよ?」
そう言って安室は梓に向かって手を差し出した。赤くなりながらその手を取る梓。きゅっと握ると柔らかな笑顔で安室は歩きだした。そんな相手を見て一瞬どきっと胸を高鳴らせた梓の歩幅にあわせて安室は歩いていく。
「これからどこに行きましょうね?…イベントまでも時間がまだありますし…」
「そうですねぇ。まずどこか入りますか?」
「どこかって…」
「たまにはポアロ以外のコーヒーも悪くないでしょう?」
そう話しながらもカフェに向かって歩いていた。梓が楽しみにしていたイベントは16時から…待ち合わせたのは10時だった。そのカフェラウンジでで安室は梓にそっと渡した。
「これ、梓さんの好みに合うか解りませんけど…」
「…え?本当に…用意してくれたんですか?」
「そりゃ、何かが無いと入れないんですよね?」
「そうですけど…あ、いくらでしたか?私の我儘なので…」
「梓さん?良いですよ。迷惑でなければ僕からのプレゼントで…貰ってください?」
「ありがとう…ございます…」
そうしてほっこりと嬉しそうに包みを開けた。中からは細身のブレスレットが色違いで2本、入っていた。