• テキストサイズ

【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~

第20章 レンタル彼氏…?


ある晴れた日、お客様もそれほど居ない昼下がりの休日。ここ、ポアロものんびりとした午後を迎えていた。

「ねぇ、安室さん?」
「はい?」
「今度、ちょっと……その」
「なんです、どうかしましたか?」
「…あの、彼氏になってくれませんか?」
「か…れし…ですか?」
「はいっ!」

真顔でじっと見つめてくる梓を見つめ返した安室。その顔は冗談を言っているようなものではなかった。

普段から常連の女子高生からの批判を気にしているという梓がこの時に限って安室に『彼になってくれ』と言ってきた。

「またどうしてですか?」
「あの…!このイベント!どうしても行きたいんです!」
「イベント?」
「はいっ!!」

そういって梓の持ちだしたチラシには『カップル限定』の文字が大きく打ち出されたイベント情報だった。それをみた安室は思わず納得した。

「これ、梓さんの好きだと言っていたアーティストの…」
「はい。どうしても行きたくて…すっごく近くで見れるんです。でも肝心の相手が居なくて…」
「それで僕、という訳ですか。」
「はい。もし安室さんが迷惑でなければ…」
「これって行くのに何か条件とかあるんですか?」
「条件?」
「ほら、カップルならではの何か…的な…」
「え…あ…・・ちょっと待ってください?えと…」
「クスクス…」
「あ!ありました!詳細は…と。・・・あぁー、無理そうです…」
「どうしました?」
「さすがにペアアクセサリーなんて…」

しゅん…と俯いた梓を見て安室は小さく笑うと『行きましょうか?僕で良ければ』と答えた。

「え…でも…」
「大丈夫ですよ。当日までに何か用意しておきます。」
「そんな…そこまでして貰ってなんて…」
「行きたい、んですよね?」
「そりゃ…見たいですけど…」
「だったら協力しますよ?」
「あ…ありがとうございます!!!!」

そうして約束をとりつけた梓は嬉しそうだった。


…・・・・――――――


『…で?何で敢えての零なの?』
「仕方ないだろ。他に居ないんだっていうから…」
『……』
「雅?何か土産見てく『いらない!!!』…からって…切れた…」

事後報告よりはいいだろうと思った降谷はその日のうちに電話をかけて話をした。その結果がこれだった。ツーツーという無機質な音のする携帯をピッと切り、小さなため息をこぼした。
/ 155ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp