【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第3章 むぅぅぅ…
「おまたせしました。」
何故か敢えてやってきたのは先程の女性ではなく安室に扮した降谷だった。
「えと…自分はナポリタンの大盛り…」
「はい。」
「私はハムサンドとアイスレモンティー!」
「かしこまりました。」
そうして去っていく安室。その背中をみて風見はふぅぅっとため息を吐く。
「どうしたんですか?」
「いや…まさかあのタイミングで降谷さんが来るとは思っていなかったから…」
「確かに。でもなんかあれだけニコニコとしている降谷さん見るのも面白いですね…」
「そうだな…いつもじゃあんな顔一切ないからな。」
フフッと笑う雅をみて風見も少し安心していた。
「…?何か顔に付いてますか?」
「いや。そうじゃなくて…」
「なんですかぁ!」
「その…」
口ごもってしまった風見に対して雅は首をかしげている。そんな時だ、安室が雅の注文したハムサンドを持ってきた。
「お待たせいたしました。出来たてがおいしいですから、どうぞ?」
「おいしそう!」
しかし手を付けずに待っている雅。カウンター越しからの視線も気付かないまま風見をじっと見て話の続きを待っている。
「先に食べていいぞ?」
「え…でも…」
「さっき言ってただろ。『出来た手が旨い』って。俺のもすぐに来るさ」
そういい先に食べさせるように促した風見。それじゃぁ…と手を合わせてぱくりと1口頬張った。
「…ック…ンク…お…おいしい!!」
余りにも大きな声が出てしまった雅に視線が集まる。ぺこぺこと頭を下げて小さくなりながら食べている雅を見て安室はクスクス笑い、風見もまた『良かったな』と声をかける。それから数分経った頃、風見の大盛りナポリタンも到着した。
「おぉ!うまそう!」
「うん!真っ赤になって…おいしそう!」
「少し食べるか?」
「でも…良いんですか?」
「箸でいいか?」
「はい!」
そうして雅はひと箸分先に食べた。しかしまたしても目を見開いて大きく頷きながらも満足そうにオッケーサインを出した。
「それじゃぁ俺も。頂きます」
ようやく食事にありついた風見。その様子を嬉しそうに前で雅は見ていた。