第19章 遭遇

不安と反省から俯いたままいる雅の頭をポンと撫でると、降谷は優しく声かけた。

「それでもありがとう…」
「…え？」
「俺の事、話さなかったんだろ？」
「だって…」
「それに、君自身の事も。だからベルモットは君を『honey Ｂ』と呼んだんだろうし」
「その…ハニービーって…？」
「多分、俺の恋人って意味だろう。honeyは解るだろ。あとはBourbonのBでhoney B」
「…ｯｯ？！」
「でもベルモットが『黙ってる』といえば信頼は出来る。だからジン達に雅の存在がばれる事もない。」
「私…・・零の…お邪魔になってないかって…それだけが心配で…」
「邪魔になってないさ」
「でも…」
「雅？」

そういうとそっと身を乗り出して近付き、頬を撫でた。

「こっち向いて？」
「……ｯｯ」
「大丈夫…雅は俺が守るから…」
「でも…」
「俺じゃ不安か？」
「違う…そうじゃなくて…」
「じゃぁなに？」
「……零の負担になりたくない…」
「１つ言っておく。雅は俺に頼らなさすぎだ。もっと頼ってくれ。」
「……零…」
「大丈夫。」

そういい、降谷はさらに距離を詰めて雅の唇にキスをした。

「…ｯﾝ…零…」
「ん？なに？」
「…あの…ね？」

そういうと、そっと手を取り雅は指を絡めた。

「今度一緒に…どこかいけたらいいなって…」
「またざっくりだな…ｸｽｸｽ…良いよ。行こう」
「…ほんと？」
「あぁ。その代わり、召集がかかったらまたお預けだが…」
「それは良いんです！それでも『降谷さん』と一緒に居られるから…」
「ﾌﾌ…頼むから…あんまりそんな可愛い事いうな…」
「…ｯｯ？！え？…かわ…いいって…？」
「あぁ。気付いて無いのもまた厄介だな…」
「そんな…風見さんだって時々男性にしては可愛い所あったり…するし……それに…ベルモットさん…でも、彼女は可愛いっていうよりきれい…」
「雅…？」

そう言うと降谷は座りなおして頬杖を突き、顔を雅に向けると目を細めて微笑み返す。

「言っておくが…俺は風見を恋人にしたいと思った事は無い。ついでにいえばベルモットもだ。」
「…零…？」
「俺が可愛いと思うのも、愛おしいと思うのも雅ｔ根？君だからだよ。」