【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第19章 遭遇
カフェの中で比較的落ち着いた場所に席を取り、雅とベルモットは正面に向かい合せで座っている。
「いらっしゃいませ」
「私、ホット。あなたは?」
「えと…アイスレモンティー…」
「かしこまりました。」
そう言ってウェイトレスも離れて行った。俯いたままの雅の顔を見つめながらサングラスを外すベルモット。その奥からは綺麗なエメラルドグリーンの瞳がじっと見ていた。
「さて、話して貰おうかしら?」
「えと…何の事でしょうか?」
「どうして、私の事を知っているの?」
「……それは…」
言葉に詰まる雅。当然だった。言える訳もない。
零と…バーボンと繋がって居る―――――なんて…
言葉に詰まっていた雅をみてベルモットはフッと口元を緩める。
「何もあなたを取って食べようなんて思ってないわ?どうして私を知っているのか。気になっただけ…」
「えと…ですから…人違い…だったはずなんです…すみません…」
「クス…そう、もしかして…私の知り合いの中にあなたの知り合いが居るのかしら?」
その言葉に一瞬動揺したのをベルモットは見逃さなかった。注文したドリンクもやってきて一口飲みだす。
その時、着信が入り雅は出ようか迷った。渦中の人間と言っても過言ではない。降谷からだったからだ。
「もしもし…」
『もしもし?俺だ。いまどこに「ごめんなさい、ちょっといまは…」……そうか…』
被せるようにして会話を切った。しかし、その声は漏れていたのだろう。頬杖を突いてベルモットは話し出した。
「…さっきの続き。……そうね、例えば……バーボン…」
その言葉を聞いた時だ。雅は平静を装うのに必死だった。おもむろにベルモットは電話を掛ける。
「もしもし?今から時間貰えるかしら?…・・えぇ、わかったわ、それじゃぁ。なるべく急いでね…?」
そう言い短い電話も切れた。
雅の頭の中はどうしたらこの場を切り抜けれるか…それ以外は無かった。そんな雅をみてベルモットは話し出す。
「あなたが誰であろうとこの際いいわ?ただ、あの時、あなたは私を見て躊躇わず『ベルモット』と言いかけた。それは一部しか知らない名前…この意味、解る?」
「……ごめんなさい…」
突如謝ってしまった雅。