第5章 滅んだ民の生きる場所 シンドバット [完]
『そう、私はニジの民。敬愛と慈愛を統べる者。』
真っ直ぐシンドバットを見つめそう告げる。
ヤム「どの民族よりも尊敬と親しみを持ち慈しみの気持ちをもつ者達。成人と共に自分の主人を見つけ誓いを立て仕える。」
そう、文献で読んだことがあるわ。とヤムライハはシンドバット告げる。
ヤム「でも……今は国は滅んだと聞いてたけど…」
顎に手を添えヤムライハは考え込む。
『そう、一族は滅んだ…仕えに出て行った人達以外皆死んでった。私は……皆のお陰で生かされている。』
目を閉じ話すその瞳の奥には何が写っているのか。
シン「仕えに出てった人達を抜いたなら最後の生き残りという事か…」
なるほど。と腕を組みながら考え込むシンドバット。
『だから、私とシンとで誓いの儀をしないと仕えた事にならない。』
立ち上がろうとする…
シン「ちょ、ちょっと待ってくれ!!!その身体で跪くのは危ない!
何か、ほら!座って誓いを立てるのはどうだ?」
肩にかけて制する。
俺は立ったままでいるから!!!とシンドバットが提案する。
『跪かないと敬意を表した事には……』
シン「なる!俺がなると言えばなるさ!」
だからな?とを見る。
『分かった。シンがそれで構わないなら……』
シン「あぁ、構わない。」
シンドバットの言葉を受けたは左手の掌に右手の拳を付け礼の構えを取る。
『ニジの民名を。我が主シンドバット主君の名において誓います。
貴方様の盾となり槍となることを。
貴方様の眼を曇らさんことを。
貴方様の手となり脚となる事を…誓います。』
シンドバットは初めて受ける誓いの言葉にただ立ち尽くしてしまう。
ヤム「シンドバット王!ここで王も言葉をかけなくてはッ!!!」
ヤムライハは小さな声でシンドバットに助言する。
シン「え、そうなのか!?え、と…ゴホンッ!!!
、その言葉確かに受けった。」
シンドバットがそう声かけると礼を解きシンドバットを見つめる。
その瞳は真っ直ぐであったが何処かキラキラと嬉しそうだった。