第5章 滅んだ民の生きる場所 シンドバット [完]
『シン、は…どうして私欲しいって言ったんだ?』
戦力にするためか?とは問うた。
シン「それもあるが…君ともっと話がしてみたかった。」
君を求めてるんだ…とシンドバットは言った。
『シンは私を求めてくれる?必要としてくれるのか?』
は口早に問う。
シン「あぁ、必要としてる。君をもっと知りたいんだ。」
ヤムライハは手を離し代わりにシンドバット手を添える。
『シンの手は暖かい…』
ゆっくり目を閉じる。
『暖かいのは久しぶりだ。』
その閉じられた瞼からはゆっくりと涙がつたった。
シン「食客にならないか?」
片手から両手に手を持つ手を変える。
『しょっきゃく?』
こてん、と首を傾げる。
ヤム「君主たちが才能のある人物を客として遇して養う代わりに、主人を助けるというもの。門客(もんかく)とも言うのよ?」
『才能のある人物…』
うーんと悩む。
シン「はジンを宿してるから才能のある人物だよ。」
それに迷宮アイテムも使いこなしてるみたいだし…とシンドバットは続けた。
『主人はシンであってるか?』
シンがいいとは言った。
シン「あぁ、合ってるよ。俺が主人だ。」
ありがとうと手を撫でるシンドバット。
『ん。』
んしょっ…と上体を上げ起き上がる。
ヤム「まだ起きちゃダメよ…頭を強く打ってるから…」
と背中を支えるヤムライハ。
『誓いたてなきゃ…』
身体を寄ろにずらし起き上がろうとする。
シン「起きたら駄目だ。身体に障るよ…」
シンドバットはがベッドの端に座った状態で止めにかかる。
『シンが私の主人になるなら私がシンに誓いたてなきゃ…』
座った状態でもフラフラと揺れるが言う。
シン「が座った状態じゃ駄目なのか?」
困った顔をするシンドバット。
『主人は座って私跪くのが正式な誓いの儀式。』
シンドバットを真っ直ぐ見て言う。
シン「変えたら駄目なのか?」
『シンが良いなら…いいけど…ニジの民は皆こうして来た。』
シン「ニジの民!?!ニジの民なのか?!」
肩を持つシンドバット。
『そう、私はニジの民。』