第2章 うつつのゆめ シンドバット [完]
ジャー「初めてなんです。シンが、誰かひとりにこんなにも執心することなんて。我々は皆、王を必要としている。王は我々を受け入れてくださる。けれど……シンが“必要としている”のは、あなたなんじゃないかと思うんです」
だから、わたしを獲りにきた。忠実なる臣下の目は語る。
(それが彼の王様のためだと信じている)
ジャー「あなたの国には、あなたを待つ大切な人がいるのかもしれません」
……大切な人。その言葉に、わたしはからだの動きを止めた。妙に引っかかって、頭のなかで反響する。国を、そこにいるはずの人たちを、わたしはおぼろげにしか思い出せないのに。ジャーファルさんは断言した。
ジャー「けれど、シンはその方と同じくらい、あなたのことを愛しています」
(忠実なる使い魔)