第2章 うつつのゆめ シンドバット [完]
『……わたしは、帰るもん』
この世界にやってきたときよりももっと途方にくれたきもちになりながら、わたしは呟いた。それでも、それは絶対。なんでだろう。でも王様に手を引かれたとき、帰らなきゃって思ったんだ。
(だって、なんだか、王様が)
シン「あちらもこちらも、変わらないさ。だから君はずっとここにいればいい」
ああ、ほら。また。
(なんでだろう)
(その言葉は本気にしか聞こえない、のに)
(なんで、そうしないでって言ってるみたいにも聞こえてしまうんだろう)
(どうして、わたし)
ーーこのひとのために、その手につかまっちゃいけないっておもったんだろう。
(ミラージュ)