第16章 記憶がなくても… シンドバット [完]
朝_____
『これでよしっと…』
服を着替え、簪を髪に指す。
コンコン_____
『(下女かしら?)どうぞ。』
シン「失礼するよ。」
『シンドバット様ッ!!!』
ガタッと椅子から立ち上がって礼する。
シン「昨日も言ったでしょう?礼なんていいんですよ。」
シンドバットはへと近づく。
『どうされましたか?こんな朝早くに…』
シン「姫君と出掛けようと思いまして…」
手を差し伸べるシンドバット。
『出掛けるって…二人でですか。』
差し伸べられた手を取る。
シン「二人っきりになれる機会なんです。是非どうですか?」
『(最近は、公務で忙しかったし…)喜んで…』
手を取り合い歩いていく。
二人で一頭の馬に乗ると…
シン「では、行きますよ?姫。」
『(シンと久しぶりのお出掛け)はい!』
走り出す馬流れゆく景色。
町を抜けて森に来ていた。
シン「ここら辺はいい日光浴場なんです。最近は来ていませんでしたが…」
『(ここ前にシンと出掛けに来た場所だ…)良い場所ですね。』
小鳥の声が辺りに響く。
シン「あれ?あんな所に守り石なんてあったかな?」
シンドバットは香を焚かれた石に近づく。
『(確かあの先は…)シンドバット様ッお待ちください!』
シンドバットは既に守り石に触れていた。
シン「香が、焚かれて間もないな…誰か通ってるのか…」
『シンドバット様ッ』
シン「姫、私達も香をッ!!!」
グラッと、石がズレてシンドバットは体勢を崩し前へ前へと、歩みだしてしまう。
シン「うぉッ!だッ、たぁ…」
バランスが取られず前へ前へと進み出る
『シンドバット様ッ!!!お待ちくださいその先はッ!!!』
追いかける。
シン「ッッ!!!(が、崖ッ!!!)」
『ッ!!!シン!!危ないッ!!!』
その時二人は目が合った。
落ちかけるシンドバットの、手を掴みグンッと遠心力で自分の場所と入れ替わらせる。
『ッあ……(落ちるッ)』
の身体は宙に浮く。