第16章 記憶がなくても… シンドバット [完]
『姫君はどうぞ"いつまでも"私の国に居てくださいね。ってニッコリ笑ってあの何か企みごとがある笑顔で私を見たんですのよ…
燐華帝国は友好条約を結んでいるのに…シンの気持ちが分からないわッ!!!
もしかしたら私との結婚も何かの策でッ』
パァン_____
ジャー「落ち着きなさい。取り乱すなんてあなたらしくもない。」
ジャーファルはの頬を打った。
『私らしいって何?』
ギュッと服を握りしめる。
ジャー「"一度決めたら最後まで"でしょう。ヤムライハが医者と記憶を取り戻す方法を探しています。ですから、落ち着いて下さい。」
『ハァー…分かったわ、落ち着くわ。』
握りしめた服を離し身体の力を抜く。
「とりあえず、今日はもう休んで下さい。」
肩から手を離すとジャーファルはそう言った。
『そうするわ、ありがとうジャーファル。』
はベッドへと入った。
ジャー「手荒な真似をしてすみませんでした。」
ジャーファルは弾いた簪を拾いテーブルに置く。
ジャー「命を経つのも燐華帝国に帰るのも今しばらくは待って下さい。いいですね?」
『分かったわ、約束する。』
ジャー「では、おやすみなさい。」
ジャーファルは扉の前に立ちそう言った。
『おやすみなさいジャーファル。』
ジャー「良い夢を。」
そう言い残すと扉を閉めた。
シン「夜這いか?ジャーファル?」
ジャー「そんな訳ないでしょう?彼女の体調の心配をして来たんです。」
シン「随分仲が良さそうじゃないか…」
ジャー「あなたがいない間八人将で話相手をしてましたからね。」
シン「なるほどな…」
ジャー「何をお考えですか…」
シン「明日。彼女と出掛けようと思ってな!」
ジャー「明日の公務は?」
シン「明後日に回してくれ。」
俺は、明日に向けて寝る!と言いながら背を向け立ち去った。
ジャー「何事もないと良いのですが…」