第16章 記憶がなくても… シンドバット [完]
『私も…頂いてしまいましたね、シンドバット様から贈り物。(きっと生きていけないこの花のように摘まれたら最期水を与えてもらえなければ…散ってしまう。)』
そっと耳の花に触れる
シン「姫君はどうぞ"いつまでも"私の国に居てくださいね。」
シンドバットはの手を取りニッコリと笑う。
『シンドバット様ッ(この笑顔は…何か考えがある時の笑顔…何を企んでるの…)』
シン「姫?どうかされましたか?」
『いえ!なんでもありませんわ!(私を使って何か企んでるの…)』
シン「そろそろ冷えてまいりましたね…姫風邪を召される前にお戻り下さい。」
手を離しそう言うと部屋へと連れていかれる。
『ありがとうございます…シンドバット様。(もういっそのこと命を経ってしまおうか…)』
シン「では、おやすみなさい。姫君。」
部屋まで送られ扉を閉められる。
『燐華帝国に帰るか、命を経つか、記憶が戻るのを待つのか。』
椅子に座り水の入ったコップに耳の花を活ける
『猶予はこの花が散るまで…』
は頭につけていた先の鋭利な簪を手にする。
それを喉元へ突き付ける。
『生きるべきか死ぬべきか…決めなきゃ』
コンコン_____
ジャー「入りますッ……何してるんです!?」
喉元へ鋭利な簪を突き付けてるを見ると素早く縄鏢をの手元に飛ばす。
キィン_____
鋭利な簪はジャーファルの縄鏢によって弾かれた。
ジャー「シンがこの部屋に居たのを心配してきてみれば…あなたは一体なにをッ……」
ツカツカと近寄り両肩を掴み怒るジャーファル。
『"まだ"死にはしませんよ?ほら、予行練習?』
うっすらと笑う。
『見てジャーファル様…シンドバット様がね耳にかけて下さったのよ?綺麗でしょ?私の命の猶予はこの花が散るまで…燐華帝国に訳を話して帰るか、私が死ぬか…』
花びらに触る。
ジャー「シンに何か言われたんですか?」
ジャーファルの声が低くなる。