第15章 愛し君に… シンドバッド [完]
『…………』
ブンブンと首を振るその際に涙が散る。
ジャー「シンドバットの冒険というのはですね、この国の王様に纏わるお話なんですよ?」
人差し指を立て教えるジャーファル。
『シンドバットの冒険…"シンドバット"、シンのこと?』
泣き顔を上げ首を傾げジャーファルに聞く。
ジャー「当たりです。ではこの国の王様は?」
『シン?』
はシンドバットを見上げる。
ジャー「正解です。」
ジャーファルは立ち上がる。
『シン、王様なの?』
ちょんっと袖を掴む。
シン「あぁ、そうだぞ。」
再び戻ってきた手に安堵を見せるシンドバット。
『そっか……』
少し嬉しそうに笑う。
シン「王宮に来てくれるか?」
『うん。シンのお家にいく。』
こくん。と頷く。
ジャー「じゃあ、行きましょう。」
再び歩き出す三人。
シン「ニャナリスはなにか特徴とかあるのか?」
『赤髪と強靭な脚力が特徴的。あと腕も力強い。嗅覚も鋭いよ…猫だし。』
最後の言葉は小声ではあったがシンドバット、ジャーファルの耳には届いていた。
ジャー「ファナリスと大して変わらないんですね。」
『うん。ニャニャット族が元々、強靭な脚力が特徴的で腕の力も強いし嗅覚も鋭いから…』
赤髪だけ引き継いだ感じ…と言う。
『だから耳がないとファナリスに間違われやすい。』
頭の布を触る。
シン「なるほどな…ちなみに何だがウチにファナリス二人居るから仲良くなるといい。」
ニッコリ笑いかけるシンドバット。
『うん。ファナリスに会うの初めて。楽しみ!』
は笑い返す。
ジャー「ほら、話してるうちに王宮に着きましたよ。」
ジャーファルが二人に言う。